夢小説
□緑間
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「真ちゃん、真ちゃん」
「真ちゃん、真ちゃん」
「煩いのだよ!」
高尾に付けられたあだ名で緑間のことを呼ぶ。反応しない緑間に高尾とふたりで顔を見合わせてにんまりと笑った後、真ちゃん真ちゃんと煩いくらいに連呼した。遂には我慢できなくなった緑間は下ろしていた腰を持ち上げ大きく声を張り上げた。反省することもせず、真ちゃんが反応した!と更に煩く騒いだ。
「名前、高尾と絡むようになってから毎日毎日煩いのだよ」
なんで私だけ…、と思ったが。たとえ叱られてるとしても構って貰えるのだとしたらそれでもいい。ごめんねー、と軽い口調で言っても緑間は眉を寄せるだけ。いや、さっきよりも怒ってるかも…。名前…お前…なんて肩を震わせながら言ってくる緑間に胸がうきうきとする。緑間が怒る、脳がそう訴えたからだ。
「はーい!名前です!」
ぶち。そんな音が聞こえたような気がした。そのあと直ぐ緑間が私の頭をふたつの拳で抉るように挟んでくる。
「痛い、痛い!真ちゃーん!」
「煩いのだよ!…大体高尾!!」
あ。
緑間の口からその名前が出た瞬間、馬鹿みたいにはしゃいでいた気持ちが凍りついたように冷静さを取り戻していく。当の高尾は緑間におちゃらけた様子で返事を返す。それからふたりは言い合いのような(緑間が一方的)会話を始めた。
その間、緑間の手は止まったままだった。
いいな。高尾。
今もそんなに怒んないでよ〜、真ちゃんなんて言いながら笑ってる。全然嫌そうじゃない。むしろ私には“もっと言ってくれ”って聞こえる。
そんな高尾に緑間は更に怒る。いいな…。