夢小説

□黄瀬
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放課後はいつも恋人の涼太と笠松主将とマジバに来ている
今日も普段通りマジバにやってきた…のはいいけれど、涼太の様子がさっきからおかしい
不貞腐れたように頬をむ、と膨らませても何も言わない。いつもなら「名前っち、どうしたんスか」って人懐っこい笑顔を向けながら気にしてくれるのに…。
だんだん拗ねた振りをし、膨らませていた頬は萎み不安にんなってきた。気持ちに比例し、表情も暗くなり視線も膝にある手元に移る

その時に涼太の肩がびくり、と揺れたのが分かった。でも、やっぱり、なにも言ってくれない。
今まで涼太と喧嘩は沢山してきた。でも、今回はその理由が分からない。知らず知らずのうちに、涼太の気に触る事をしてしまったのか…。

考えても考えても分からない。でもだからといって、黙ってれば解決するワケでもない。

私は思い切って笠松主将に耳打ちで話しかけた
「…私、…涼太になにかしましたかね…」
そう聞けば笠松主将は肯定する訳でもなく、否定をする訳でもなく。神妙な顔つきのままあー、と声を伸ばし涼太の肩に優しく手を置いた。
そのまま涼太の名前を呼びながら、何度も肩を叩いている。笠松主将のその行為に涼太は今自分が此処に来たかのような反応を見せ、また、下を向いた。さっきと変わった所といえばカタカタと小刻みに肩を揺らしているだけ。

「部活、大変だったんだよな」

「え、そうなの?」

笠松主将からの意外な言葉。それに対し時間を空けることもせずに問い掛ける。涼太が練習きつかったから大人しくなるなんて…。付け加え、大丈夫と聞くと涼太はかちかちと歯を震わせた。

「…ぁ、…っ俺…その…」

「…?涼太…?」

「…っ!!」

明らかに尋常でないその様子。涼太が心配になり名前を呼ぶと、大きな目をこれでもかというほど見開いた。しばらく涼太を見ていると目を見開いたままの涼太はしゃくりあげ始めた。
驚いた。いや、正直驚いたどころのはなしではない。
身を乗り出し涼太の肩に手を伸ばそうとすると、笠松主将の大きな声、涼太の名前を呼ぶその声に制止だれた。

「具合悪いみたいだな、悪い
今日はもう黄瀬送ってく」

戸惑いつつも返事を返す。涼太を支え立たそうとする笠松主将と、笠松主将に支えられふらふらとした足取りで店を出ていく涼太。ふたりの背中をぼ…と眺めながら立ち尽くすしかなかった。


「…っひ…ぐ…せんぱっ…俺…!」
「分かってる
明日、一緒に行こうな苗字の焼香」

 

消灯


 
 

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