夢小説

□青峰
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汗が吹き出し、お互いのことを求めあうように舌を絡め、肌のぶつかりあう音が部屋に響く
獣のように腰を振る青峰に、汚らしく喘ぎ声を上げる私

思い出せば思い出すほど、べたついたシーツが鬱陶しく思える


「昨日とは別人だね」

自嘲気味に笑う私に青峰は私の髪に滑らしていた手をぴたり、と止めた
それは、青峰なのか、自分なのか口にした本人にすら分からないけど

青峰は私がこういうことを言うのを嫌う
私はその時に流れる空気が嫌い
ぴりぴりしていて、傷つくはずもないのにあちこちが刃物で刺されたように痛む


「…おい」


低く低く、嫌そうな声が響く

青峰、私はどうしても分からない
青峰がどうして、昨日の事を言われるのが嫌いなのか。


「…私、そろそろ行かなきゃ」

「またかよ」

「うん、常連さんだもん」


なんて。
居ないモノを居るかのように扱う
随分前に吐いた嘘だけれど青峰はそれを本当だと信じ込んでる
青峰以外に、そんな人いないよ

そう言おうか、何万回も悩んだ末言わないことをほぼ無意識に決めていた
否、ほぼ無意識に言えずにいた

そんなことを言ってしまえば青峰の私に対する気持ちが膨らんでしまう
だから、“あなた以外に”なんて言葉、絶対に使わない


「お金、沢山くれるし」

今度吐いてしまえば青峰は私から離れていってしまうかもしれない…、不安はあるのに私はそれを止めようとしない
青峰が離れていってしまわないようそれを取り繕う、もうひとつの“嘘”を吐く


 
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