夢小説
□紫原
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紫原教師設定です
「紫原先生誕生日おめでとう!!」
「んー、ありがと」
目の前で繰り広げられる光景は、朝から百回は見せられたと言っても過言ではない
小さくて、可愛らしい、スカートの短い女の子たちは普段から高い声を更に高くし
若くてかっこいい人気の紫原敦先生に手作りと思われるお菓子を渡している
当の紫原先生はそれを迷う素振りもなく受け取る
「はぁ…」
自然と漏れた溜息
もう一度出そうになったそれを押し込めるように口に手を当てる
私も…渡せたらな…
憂鬱な気分で視線を自分の左側へ移す
かかっているのは学生鞄、その中にある紫原先生に渡したくて作ってきたお菓子
マドレーヌを少し地味目な無地の袋に入れて持ってきた
けど…
「とてもじゃないけど…渡せない…」
私は周りの子より大人しい部類
簡潔に言えば、地味なのだ
校則通りの長さのスカート
結ぶことをしない髪
口数も少なく、授業中も発表の時以外話さない
そんな私が皆に好かれている紫原先生に「誕生日おめでとうございます」なんて言いながら手作りのお菓子を渡す…?
どこの青春漫画だ
きっと、
私はこのまま渡せず今夜、自室のベッドの枕を濡らすことになるだろう