夢小説

□花宮
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むかつく、


うぜぇ…、


キーキー煩ぇ馬鹿女どもの声も、小学生みたいに燥ぐ男どもの声も
皆、皆…煩ぇ…


普段いい子ちゃんで通してることも忘れたようにずんずんと廊下を歩いていく
今、誰が見ても俺は怒っているように見えるだろう
その通りだと言えば、その通りだ

その原因は俺を後ろから追いかけてくるアイツの所為


小さい歩幅で俺の事を、これまた小さい足で小走りで追いかけてくる
ぱたぱた、ぱたぱたと
音を立てながら


「花宮君…!」


その高く透き通る声に名前を呼ばれ俺は足を止める
それが嬉しかったのか、後ろから安堵したようにはかれた息を感じた

苛つく…

「…なんだよ」

後ろを振り向かず不機嫌なのを隠さずそのまま声を出す
自分でもわかる程低い声に苗字は喉をひゅ、と鳴らした


「私、また、なにかした…?」
「…、…」


“また”と苗字がいうのは俺が苗字に離し掛けられると毎回機嫌を損ねるからだろう
だから俺は不安そうな焦ったような顔をする苗字に口を開いた


「…お前のこと見てると苛つくんだよ…」


そう言えば大きく肩を揺らす苗字

その大きな目も
華奢な肩も
胸元まで伸びた髪も
白い腕も
細い足も

お前の全てに苛々する

 
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