短編

□この恋の、終わり。
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最近あるファッション雑誌で見た占い。本当に隅っこにおまけみたいな感じで書いてあったそのおまじないがわたしの目にたまたま偶然留まった

かちかちかち

シャーペンから芯を出す。好きな人の名前の数だけ。


に お う ま さ は る


それからノートに「振り向いて」と書き続ける。何回も何回もその人を想いながら。振り向いて、こっちを見て、と願いながら。

知ってるおまじないを全部試してみた。だけど、どのおまじないも上手くいかなくて、叶いもしなかった。その間に仁王雅治は遠くなるばかりで。どうすればいいのかわからなくなっていた時にまた見つけたこのおまじない。



『振り向いて、振り向いて、振り向いて、振り向いて、振り向いて。』



どうか、わたしに気づいて。こんなにも好きなのに。大好きなのに。恋を、しているのに。

こっちを……見てはくれないの?わたしはいつも見ているのに。なんで、気づいてはくれないの?何が足りない?わたしはどうすればいい??誰か……教えてよ。



ぽきっ



小さな音を立ててシャーペンの芯が折れた。ころころと折れた芯が机の上を転がる。そして、ノートの文字が滲み始める。わたしは、シャーペンをそっと机の上に置いて、ただ、ぼーっと書き綴った文字を見ていた。


シャーペンの芯が折れたらわたしの恋は、どうなるんだろう。この気持ちは……どうなるんだろう。



ぽきっと物悲しい、虚しい音がわたしの恋の終わりを告げました。









この恋の、終わり。
虚しく響く折れる音


何もしなかった。わたしは、たくさんのものに頼って自分で行動しなかった。だから、きっとわたしの恋は、叶うことなく消えていくのですね。

次の恋は……勇気を出すことから始めてみよう。もう泣くことなんかより笑う幸せな恋がしたいから。



自分から動かなければ
今の現状は変わらない
から。それを学んで終
わる恋もまた必要だ。








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