君に恋する -番外編- 〜クリスマス〜
吹き付ける風が肌を刺し、吐く息の白さがよりいっそう寒さを感じさせる季節。
12月。
日が沈んでからも、町並みを飾る燦然と輝く色とりどりのイルミネーションがいつにも増して暗闇を惹き立たせます。
人々は、手をかじかませながらもその光に魅せられては綺麗だ、とため息をこぼすのです。
世間はクリスマス一色に染まっています。
そしてここ、流川家にもクリスマスに一際胸を躍らせる男の子がいました。
「かえにーちゃんっ!これ!きょうようちえんでつくったんだっ!」
そう得意げに言って楓のもとに駆けてやってきた花道が両手で差し出したのは、色画用紙で作られた、小さな小さなクリスマスツリー。
色とりどりの飾り付けが施され、ところどころ真っ白なわた雪が積もり、てっぺんには黄色いクレヨンで丁寧に塗られたお星さまがかがやいています。
差し出されたそれを見た楓は、花道を真正面から見据えるようにしゃがみこみ、とてもやわらかな面持ちで答え、花道の頭をいいこいいこ、とやさしく撫でます。
「上手にできたな」
それは、彼の前でしか見せることのない特別な笑顔。
その言葉と頭の感触に花道は途端にくすぐったそうに照れたような笑顔を見せます。
「これっ、かえにーちゃんにあげるっ!」
その言葉とともに花道は、もらってくれるかな、よろこんでくれるかな、と期待と不安のまなざしで楓を見上げました。
楓は一瞬驚いたような顔をしながらも、すぐに綻びを見せます。
「ありがとな」
そう言って、楓は差し出されたままの小さなクリスマスツリーを小さな小さな花道の手ごと両手でふんわりと包み込んでから、花道のおでこに唇を寄せました。
「……んっ」
小さな小さな、キス。
それは、いつもより少しだけ、くすぐったいものでした。
fin.
おまけ。
今日の花はすげー可愛かった。
花はいつもかわいーけど今日の花はすげー可愛かった。
園服着てる花はやべーくらいかわいー。
しかも俺んとこに向かって走ってくる!
すげーかわいー笑顔で園服着た花が俺んとこに向かって走ってくる!
俺んとこに!!
花がくれたクリスマスツリーは俺ん部屋の机に置いてある。
それ眺めてっと、一生懸命作ってる花が目に浮かぶ。
俺んためにがんばって作ってくれたんだろーな。
本物のツリーってどこに売ってんだ?
今度は俺が本物のでっかいツリー買ってやるからな。
花、一緒に飾りつけしよう。
fin.