小説

□南国パイナップル茶
1ページ/1ページ

『う〜…なんか、頭痛くなってきたのな!』
「だ、大丈夫?山本!」
ファミレスで夕飯を食べていたら、急に山本が頭痛を訴えた。
『多分、このお茶だな…』
「お茶?…山本、このホット、何のお茶なの?」
ティーカップをカチャリ…と置き、こめかみに指を当てながら山本は言う。
『確か…南国パイナップル茶とかいう茶葉だったよーな』
「パイナップル?!」
山本の事だ。ファミレスのドリンクバーで、珍しいお茶を手当たり次第飲んでみたい…とか考えて、パイナップル茶なんて飲んでみたんだ。パイナップル茶…即座に六道骸の髪型を思い出して、胸がムカムカする。
「ねぇ、山本、そんなお茶やめて、別なホットを飲みなよ。俺、入れて来てあげるからさ」
『え?本当に?悪ぃな!えーと、次は…』



今日は山本の誕生日。平日で山本は部活で忙しかったけど、なんとか都合をつけてくれて、こうして俺と二人きりでファミレスで夕飯を食べてくれてる。誕生日を二人きりで祝ってる…俺、すごく嬉しい。だから、六道骸なんて連想させる飲み物なんて、山本に飲ませちゃいけない。
「山本、おまたせ!」
『お!サンキュー』
ご飯を食べ終えた山本に、入れ直したお茶を手渡す。
「頭痛、少しは良くなった?」
『もう大丈夫だせ!ちょっと前に、骸から貰った鎮痛剤があったから、飲んどいた』
「へ?」



まさか、山本の口から六道骸の名前が出て来るなんて……ああ、ムカムカする!これ以上、奴を連想させるような展開にならないよう、早めに山本を自宅へ送ろうと考えた。



END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ