夢2
□たった一つの光
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「石田、アンタ船酔いは平気か?」
「そこまでひ弱ではない」
「そりゃあ結構」
声、表情、仕草。
以前の三成様と比べて、ほんの少しだが物腰が柔らかくなっている。
きっと三成様自身、気付いておられぬだろう。
西海と権現の誤解も解けた。
この先どうなるのか。
願うことならば、このまま西海と共に。
そんなことを願ってしまう。
西海の誠実な気性はきっと三成様の心を解きほぐすことができる。
初めてお会いした時から変わらぬ、美しい密色の瞳がゆらめく蝋燭の光を受けてきらきらと輝く。
許されない願いかもしれない。
けれど。
どんな形でもいい。
ただ、生きて欲しい。
私は願う。
貴方様が平穏に生きてゆける安寧の、地。
そしてそこが、西海の隣でありますよう。
ただひたすらに凶王の幸せを祈る女の話