翼持ちて奏でる剣と魔法の舞

□Symphogear編
2ページ/199ページ





†山梨県 北富士演習場†



山梨県に在る自衛隊の演習場の一つ…北富士演習場。
その演習場では戦争でもあったのではないかと思う程の戦車の残骸が転がっていた。
そのどれもが全て使用不可能状態で。



『状況終了を確認…』

「旧式とは言え、こうも易々と…」



その場にいる自衛官達の目には信じられないと思うしかなかった。
旧式の戦車とは言え、自分達が誇る戦力を用意したつもりだったのだ。
それをわずか短時間で簡単に破られてしまったのだから信じられないと思わざるをえないのも無理はない。



「よくやった、四人とも。帰投準備だ」

「あれが…特異災害対策機動部二課保有のFG式回天特機装束――シンフォギア――」



その先にいるのは…人類守護の防人。
FG式回天特機装束…シンフォギアシステムを身に纏いし四人の装者の姿があった。








「ふぁ…。ねぇ!ここってさ、もっと時間つぶすのにマシな場所ってないの?カラオケとかさ♪」

「奏!」

「またか…」



北富士演習場近くにある自衛隊駐屯所。
その駐屯所の一室では三人の少女と一人の少年の姿があった。
一人はヘッドフォン音楽を聴く赤く、まるで羽根の形の髪をした姉御然とした口調と性格をした少女――天羽奏。
一人は静かに椅子に座って待機していた青い髪を髪飾りで一房右側に結った凛とした真面目な性格の少女――風鳴翼。
一人はスケジュール帳を確認している金色の髪をツインテールにした見た目年下に見られがちな明るい性格の少女――アリシア・T・ハラオウン。
そして文庫本を読んでいる唯一の少年であり、翼と違い後頭部で髪を結んでポニテにしている翼同様に真面目な性格の少年――風鳴刹那。
人類守護の使命を背負った防人。



「固ぇこと言いっこなしだって」

「任務中よ!」

「大体ダンナと了子さん、一体どんだけ待たせるのさ?」

「司令達の話が長いのは今回の件が重要な案件だと言う事だ。そして、それと同じく上も慎重に事を運びたいと言う事だろう」



時間つぶせるような場所ないの?と四人の警護役の津山一等陸士に聞く奏。
その事に真面目な性格の翼が奏に注意したのだが、然程効果がない。
刹那の言葉にしても同様だ。
もっとも、それが奏の性格だと分かっているのもあるが。



「あの…あなた達の事はこの場所にて待機、警護するよう任を受けております。勝手な行動はお控えいただきたく…。それに、ここでの娯楽施設ですとシアタールームはありますがカラオケはちょっと…」

「ぷっ!あははははっ!悪ぃ悪ぃ、冗談だって!あんたもマジメだねぇ」

「え…ι」

「アタシの相棒二人みたいだ」

「奏!///

「はぁ…やはり奏の揶揄い癖か…」

「あはは、みたいだねぇ」



奏の問いかけに真面目に答えた津山一等陸士。
だがその反応に突然奏は噴出したように笑い始めた。
しかも冗談だというので津山一等陸士も思わず唖然。
彼も先程の演習を見ていたので四人の事を何処かで恐れていた。
だがそれが実際には年頃の少年少女と何も変わらない。
冗談を言い、笑いあい、注意する…ごく普通の姿。



「けどさ、アタシらのプレゼン見といてまだ会議だなんて、何をそんなに話すことがあるのやら…」

「風鳴司令が仰るには、まだ二課のプロジェクトの重要性については懐疑的な声が多いとか…。承認を得るにも時間が掛かるのよ」

「今回の件が重要だというのは奏もすでに説明を受けただろう」

「まぁそう簡単には通らないよねぇ〜」

「ふん!時間なんてかけるだけムダだね。ノイズをやれるのは、アタシ達だけだ」

「…そうね」






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ