翼持ちて奏でる剣と魔法の舞
□A's編
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12月1日 AM6:35
海鳴市 桜台
あの事件……ジュエルシード事件から半年。
ジュエルシード事件で魔法の存在を知った少女…高町なのは。
あれから彼女は魔法と関わる事を辞めず、今もまだ魔法の練習を続けてる。
そして今日も今までと同じく、早朝の魔法の練習をする為に桜台にある公園を訪れていた。
「じゃあ、今日の練習の仕上げ。シュートコントロールやってみるね」
『Allright.』
片手に空き缶を持ちつつ、半年前に出会った愛機“レイジングハート”に今日の早朝練習の仕上げをすると伝えたなのは。
レイジングハートも折り畳まれたコートの上でわかりましたと返答を返す。
そのままなのはは目を閉じ、意識を集中させる。
「リリカル・マジカル!」
呪文を紡ぎ、なのはの足下に展開された桜色のミッドチルダ式魔法陣。
そのまま目を閉じた状態で右手に空き缶を持ち、なのはは左手を掲げる。
「福音たる輝き、この手に来たれ。導きの下、鳴り響け!ディバインシューター、シュートッ!」
詠唱が終わると同時になのはは空き缶を上空へ向けて放り上げる。
そしてその空き缶へ向けて左手に生成した一つのディバインシューターを射出。
真っ直ぐ上昇したディバインシューターは同じく上へと投げられた空き缶にカンッと良い音をさせてヒットした。
だが、それだけでは終わらない。
「コントロール……」
意識を集中させ、思念操作でディバインシューターの軌道をコントロールする。
そうすればディバインシューターは再度空き缶へと向って飛び、またいい音をさせては空き缶へと向って飛来。
そこから幾度も繰り返し空き缶へとヒットしていく。
その当たった回数を担当するのはレイジングハート。
『][…]\…]]…]]T….』
「アクセル……!うっ……うぅ……!」
レイジングハートのカウントが聴こえる中、なのははシューターの速度を徐々に加速し、空き缶が上へ上へと上っていく。
だがその分、集中力が必要となる為なのはは顔を思わず顰めた。
『LV…L]…L]W…L][…L]]…L]]V…』
「うぅ…くぅ…!」
『]C[…C.』
「ふぁ…」
レイジングハートのカウントが100を超え、集中力が途切れ息を吐いた。
そのまま上を向けば空き缶は重力に引き寄せられ落下してくる。
「ラスト!…えいっ!」
最後に一度ディバインシューターをコントロールし、なのはの真横に落ちてきた空き缶にヒット。
そのまま空き缶は放物線を描きながら空き缶専用のゴミに向っていったのだが……。
空き缶はゴミ箱の縁に当たって傍に落下した。
それを見ながらなのはから出るのは落胆の声。
「あぁー……」
『Don't mind, my master.』
「あはは……。ありがとう、レイジングハート」
わたし、高町なのは。
割と最近までは極々平凡な小学3年生だったんですが……。
春先に起こったとある事件がきっかけで、魔法使いになってしまいました。
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