歌姫の歌2

□仮装(奈々)
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『もしもーし、奈々ちゃん〜。来たよー』

「はーい」



インターホンから聴こえて来た葵さんの声

実は今日は葵さんが私のお家にお泊りする日で…

今日はお仕事だった葵さんはお仕事終わりに一度お家に戻って準備をしてくると言っていた



「葵さん、お待ちしてました!」

「うん。もしかして結構待ってた?」

「いえ。私もさっき帰って来たばかりなので大丈夫ですよ。あっ、荷物預かりますね」



葵さんの手に握られていたお泊りバックを受け取り、葵さんと一緒にお家の中へ

リビングに入ればけぇたんが葵さんの足下に近づいてきてくるくる回っていた



「おっ、けぇたん。お邪魔するね?」

「わんっ!」



葵さんの言葉に返事をするように一鳴きするけぇたん

それを見ながら葵さんとけぇたんは本当に仲良しだなぁと思う



「あっ、奈々ちゃん」

「はい?…んっ!?」



そう思っていた私の名前を呼んだ葵さん

その事に振り返れば唇に温かい感触と葵さんの顔が目の前にあった

そうしていれば小さなリップ音と共に葵さんの顔も離れる



「えへへ、いつもの挨拶忘れてた」

「も、もう…!」



いつもの挨拶という葵さんに私の心臓はドキドキしていた

葵さんは二人きりの時はこうした挨拶のちゅーをしてくる

未だにそれが慣れなかったり…



「実は…奈々ちゃんにプレゼントがあります」

「プレゼント?」

「実は……ほいっ」

「わぁ!クッキーだ!」



プレゼントと言う葵さんが取り出したのは小さな箱に入ったクッキー

葵さんはお菓子作りが得意な人だから、味も保障できる



「でも、どうして急に?」

「まだ早いけど、もう直ぐハロウィンでしょ?だから奈々ちゃんへお菓子のプレゼント」

「ありがとう御座います!でも、私用意してなくて…」

「それじゃあ…いたずらかな?」

「えぇー!?」



悪戯といいながら悪戯っ子な顔をする葵さんに思わず後退り

ゆかりさんと同じ位悪戯好きな葵さん

結構その事が怖かったり…



「あっでも大丈夫だよ。簡単だから」

「簡単、なんですか?」

「うん。…えっと…」



簡単だという葵さんはお泊りバックを開けて中を探り始めた

そうすると見つけたのか、私を手招きした葵さんの傍に私も行く事に



「はい、奈々ちゃん。これ着てね」

「…へ?」







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