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□仕事
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『....』
次の日の朝、ローはまたレイラの船室を訪れていた

少し遅い朝食を運んだついでに、話があると切り出す

「…記事で読んだが"何でも人並み以上にこなす"
あれは本当か?」
『....もっと具体的に聞いて』
「医術の知識は?」
『ある』
「...カマロの船では何をしていた?」
『...船医と航海士』
「...記事も捨てたもんじゃ無ェな。
お前に役割を与える」
『...役割?
…まだクルーになるとは言ってないはずだけど』
「なろうがなるまいがこの船で生活を共にしているのは事実。
お前は客じゃ無ェからな…」
『...確かに。
命の恩人でもあるし…私に出来ることなら』

「船医の頭は俺、航海士の頭はペンギンだ。
直に指示があるだろ…」
『…分かった。』
「…医術に航海術に戦闘…諜報員も可能か…?相当叩き込まれたんだな…」
『…。』
「憎む気持ちも分かるが、お前に膨大な知識をつけてくれた事には変わり無ェ。」
『…。』
「お前は海軍を利用した。…そう考えろ。憎しみからは何も生まれ無ェ
俺自身...そう思う様に勤めている」


そう語るローの目は、仄暗い海の底を思わせる程...
憎しみの色を滲ませていた

《私と同じ..》
その"目"に親近感を覚えたレイラは、徐に口を開く

『記事で読む限り...
もっと人間味の無い冷酷な男だと思ってた』
「…どんな男だ」

レイラは少し目を見開くと吹き出し
それにつられ、ローも微かに笑った
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