red

□目的
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シャチは船室の椅子に座り、あの日の事を思い返していた

【船長..!早く...!】
【?...この女も乗せるんスか?】
【そうだ...治療する。
いいか...お前らもよく聞け】
【......?】
【許可があるまでこの女との接触は俺とペンギンのみとする
異論はあるか?】
【.......】
【...ならいい。
お前らも分かってるだろうが、こいつは3億の賞金首、red gang レイラだ】
【......!!】
【扱いを間違えれば死ぬぞ...
俺に考えがある。
こいつは必ず俺らにとって吉となるだろう...
それ相応の覚悟と備えが必要だが...
とにかくこの島を脱出するのが先だ..!!
船を出せ..!!】


思考を今に戻すと、激しく首を振った


〈わっけ分かんね〉



ーーーカラン...カツ...コン.....

控えめに硝子と硝子をぶつける音が響く

『…ん…...っ!』

目を擦る為反射的に手をあげようとするも、激しい痛みで目が覚めた


「…案外早かったな…。」

また知らない声…その方向に顔を向けるとトラファルガー・ローが立っていた

『…...』
《死の外科医 トラファルガー・ロー》

「…瀕死の重体だ。
お前は2日眠っていた。」

《2日...という事はあの島をもう...》
そして辺りをぎこちなく見回し、点滴や人口呼吸器装置に目を留める

レイラの口元には人工呼吸器のマスクが掛けられていた

『…治療...してくれたの?』
「....あァ」
『…私に』
「...?」
『...私に何の見返りを求めているの』
「...それは後々話す
今は休め」

何処か一点を見つめたままのレイラ
呼吸をする度にマスクが曇る様子をローは無言で眺めた



「…何か食えるか?」
『…無理。』
「…だろうな。
点滴だ。」

そう言うと追加の点滴の準備を始めた

手際良く進めるローの眼差しや手つきは、医者そのものだった

《これが...死の外科医トラファルガー・ロー…か》

レイラの左腕を手に取ると、綺麗に巻かれた包帯をずらす

『…つ……』

痛みに顔を歪めるレイラをチラリと見ると、

溜め息をつき、鎮痛剤を増やしてやると言った

針を入れ変える時、痛みはほぼ無かった

それは自ずとその医者の腕の良さを物語っている
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