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□キッドの船
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「色々と決事がある。守れなければ海に捨てる。」
唐突に話し始めたはキラーはレイラの手元を見るも、触れずに話を続けた
「まず部屋から出るな。この部屋は元々客用。シャワーもある。飯は俺が持ってくる」
レイラは破片を一つ一つゆっくりと集めながらも耳を傾けている
「部屋には外から鍵を掛ける。鍵を持つのは俺とキッドだけだ。他のクルーとの接触は一切無い。…変な揉め事はごめんだからな」
『…。』
「聞きたい事はあるか?」
『…着替えが欲しい』
「……あいにく女の服など船に無い。」
『…上だけでいいの。
これは流石に…』
そう言うと血と泥に塗れ、更に破けている自らの服に目をやる
「…。仕方ない」
流石のキラーもそれは分かってくれたようだ
『...…お酒飲みたい』
「…..。」
『.......甲板でいいから外に出たい』
大きな溜め息をつきながらも頷くキラーは、またレイラの手元に目をやり、
「...どいてろ」
と手際良くグラスを集め屑篭へ捨てた
レイラに向き直り、手を掴むと掌の傷をじっと見ている
無言のままポケットからガーゼとテープを取り出すと、簡単に処置し部屋を出て行った
唖然とするレイラはその雑な処置を見て微笑む
《不器用な人...》
静寂に包まれたこの船室でまだ見ぬ次の島へと想いを馳せた
《二週間...か》
次の島からは、独りでやっていかなければならない
自分の帰りを待つ人も、知る人も居ない場所で...
そして更に海軍から身を隠さなくてはならない
レイラはこの先の孤独な旅を思い、目を伏せた