Security Police

□sheer happiness
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襖を開ける微かな音に、ふっと目が醒めた。

どこかぼんやりとした視界に映るのは・・・目の前で無垢な寝顔を見せる、2人の"天使"たち。

布団を並べて、この子たちを寝かせようと一緒に横になっている間に・・・
いつの間にかうたた寝をしてしまっていた、と。
そこで初めて気がついて、身を捩った。

「・・・起こした?」

囁くような小さい声が間近で聞こえた、と思うと。
横になったわたしの背中越しに覗きこむようにしているのは・・・愛しい、旦那サマ。

「あ。おかえり。海司」
「ただいま」
「今日も、おつかれさま」
「おう」

いつの間に帰っていたのか・・・もうすっかり部屋着に着替えた姿で。

ふっと表情を和らげた海司が、そっと間に入ってきた、と思うと。
自由な格好で寝ている子供達を大事そうに抱き上げて、元の布団に戻して布団をかける。

「相変わらずな寝相、だな」

小さな声で笑いながら、髪を交互に撫でて。
目の前で小さな寝息を立てる、愛しい子供たちを慈しむように見つめる。

そっと起き上がって、同じように手を伸ばした。

柔らかい髪。小さな体と、手。
無垢な表情ですぅすぅと安らかに眠っている二人は・・・
かけがえのない、宝物。

日常に追われていると、つい、忘れそうになってしまうけれど。
こうやって寝静まった姿を見つめているのが、たまらなく好きな時間。

誰よりも大事で。愛しくて。
可愛くて。愛すべき・・・かけがえのない家族。

「なんか・・・幸せ、だなぁ」

まだ就学前の子供たちの髪を交互に撫でながら、ふっとそんな言葉が口をついた。
無意識に呟いてはみたけれど。

胸の奥を満たす、確かな想い。

「・・・そうか?」

隣に座った海司が、わたしと子供たちを交互に見つめる。

「うん。こんなにかわいい子供たちが2人もいて。・・・今日も、旦那さんが無事に元気に帰ってきて」
「普通、だろ」
「普通じゃないよ? そういう事こそが、ありがたいの」

畳が敷き詰められた和室。
置かれた時計を確認すれば・・・もうとっくに日付は超えている。



"SP"という仕事をしている以上、仕事で体を張らないといけないのは、やむを得ない使命。
わかっていても、毎日、祈る。

今日も、無事でありますように。
元気に、帰ってきますように。

そして、そういう積み重ねが・・・毎日を、つくっていく。



「幸せ、だよ。大事な旦那サマがいて。子供たちも元気にすくすく大きくなって・・・今、こうやって寝てる」

素直に吐露すると、照れたのか・・・海司がふいっと顔を逸らした。

「・・・そう、だな」

さっきまで子供たちに触れていた海司の手が、わたしの頭に乗る。
ぽん、と撫でるような・・・いつもの仕草で。


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