Part1 Pantom Blood

□過去からの手紙 その2
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 ディオも私も、ジョナサンの言葉に驚いた。
 彼があんな事を言うなんて……でも、それとても的確だった。ディオの性格を考えれば、名誉は誓えないはず。それ以外の、何らかの反応を示すはずだわ。

「ディオ! さあ! 誓ってくれッ!」
「ち……誓いか…………ぐぐぐ……」

 ディオは言葉に詰まり、額に汗が浮かんでいる。そして、伏せていた目を大きく見開いた。

「い……いや! おれの前であいつの話はするな……あいつの名誉に誓うだと? かんちがいするなッ!
あんなクズに名誉などあるものかァーーーーッ!!」
「ッ!」

 憎悪に満ちた目。ディオはジョナサンに殴りかかる。

「ジョジョ! 薬をもどせッ! そして手紙を渡すんだァーーーーッ!」
「ムン!」

 ジョナサンの頬に拳が入る。だけど、いつかのように吹っ飛ぶことはない。
 むしろ、彼は強気にディオを睨み付けた。

「君への疑惑が確信に変わったぞッ!
ディオ!君の動揺と憎悪は普通じゃない! 君と実の父との間に何があったのか知らんが君は父親を殺害しているッ!」

 私はハッとなってジョナサンを見た。ディオが親指を突き立てている。あのボクシングの時のように……!
 でも、その指がジョナサンの目に入ることは無かった。
 彼はそのディオの腕をつかみ、もう片方の手で手首を後ろに折り曲げる。

「う……う、こ……こいつ、なんて力だ」
「ぼくは父を守るッ! ジョースター家を守るッ!」

 そのまま、ジョナサンはディオの体を持ち上げ、階段の手すりの方にに思いきり投げ飛ばす。
 木製の手すりは激突したディオの衝撃を受けきれず砕け、彼は派手な音をたててエントランスに落ちた。
 痛みに悶え苦しむディオ。地に伏しつつもこちらを睨み上げてくる。

「や……やるか……」
「殺れるものならやってみなさい」
「?!」

 私はディオの背後に回り込み、彼を見下ろす。

「でもここで私やジョジョを殺せば、あなたに罪は来なくてもジョースター家の名誉と尊厳は失墜。
 あなた欲しいのは、完全なるジョースター家の財産なのではなくて?」
「……そんな、こと、わかっている……ミツネ、貴様なんぞに言われなく、とも……」

 いくらでも睨みなさい。私は怖くない。

「君のこの7年間の考えがわかった! ぼくらには最初から友情などなかった! そして父にはもう近づけんッ!  この薬を分析して必ず刑務所に送り込んでやるぞッ!」

 宣言するジョナサンは、とても頼もしく思えた。
 でもジョジョ、その気持ちはあなただけではない。

「ジョジョ! 私はいくらでも協力するわ!」
「ミツネ! ……ありがとう」

 と、騒ぎに気付いてか執事たちが集まってきた。

「ディオ様! どうかなされましたか? ミツネ、何があった?!」
「いや……たいしたことはない。階段を踏みはずしただけさ」

 ディオは痛みをこらえているようで、顔を歪めながら立ち上がる。
 あなたの野望は、ここで終わりよディオ。
 ジョースター卿とジョナサンを守るのは……この私の役目。
 そう決心したとき、私は体の底から力が沸き上がってきた。
 これが……"覚悟"。そしてこれを全うすることが、"誇り"に繋がるのね……。
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