Part1 Pantom Blood
□ディオとの青春 その2
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その光景に、ただただ驚くことしか出来なかった。
全身を銃でぶち抜かれたはずのディオが生きていて、しかも生身の人間の頭を吹き飛ばした。ジョナサンも、スピードワゴンも、周りの警官たちも、その姿をただボケッと見てる事しかできない。
ディオは先程自分が吹き飛ばされた窓から、また部屋に逆戻りする。その際、尖ったガラスが彼の頬に傷をつけた。特に気にする様子も、痛がる様子もなく、むしろ笑っていた。
「な……なんだ、こいつは?!」
「あ、あんなに弾丸をくらったのに、生きているッ!」
「ど、どうなってるの……?」
「わからねぇ、俺にも、サッパリだ……」
私を守ろうと、前に出ているスピードワゴンがそう答える。ふと隣を見るとジョナサンがいた。
「け……警部の頭が……あ、あんなにメチャメチャに!い、い……いったいどうやればあんな風になるんだ?!」
「わ……わからん!気を付けろ!きっと、なにか武器を持っているにちがいない!」
刹那、私とジョナサンはあるものを思い出した。石仮面……ジョナサンが研究していて、そしてなぜか、ディオが撃たれる直前にかぶったアレ……。彼のの研究を手伝っていてわかった事だけど、アレには人の脳を刺激する何かがあった。脳というのはまだ多く謎があり、解明されていない部分は多い。石仮面は、そんな脳の隠された何かを引き出す道具かもしれないというのが私たちの見解だった。
……引き出されたものが、"これ"だというの?!
「まさかッ!」
「嘘でしょ……!」
そうこうしている内に、ディオが向かってきた。
「こ……こっちに向かってくるぞ」
「なにをしているッ!もたつくんじゃあねえ、早く狙撃しろッ!きっと急所をはずしたにちがいねえ!」
狼狽える警官たちをスピードワゴンは叱責する。その声で、私たちも我に帰った。
「ディオ!止まれッ!」
ジョナサンが銃を構えた。しかしディオディオと名を叫ぶだけで一向に撃とうとしない。きっと、甘ちゃんな彼の事だから、共に育ってきたディオを撃つ事に躊躇を覚えているのだろう。それが自らの父を殺した相手で、今は化け物と化しても。
ディオの目が妖しく見開かれた。私はそちらへ駆け出す。
「ジョジョ!あんたってばこんな時まで……!」
「危険だ!ジョジョ――――早く撃て!!早く撃つんだーッ!!」
フロアに高々と銃声が鳴り響いたのはその直後。弾丸はディオの頭を貫くだけじゃ飽きたらず、その後ろに飾られていた花瓶も破壊した。狙撃主はジョナサンじゃない。スピードワゴンだった。
「うっ」
「うわあああーっ!!」
……なんという事なの……。私はその光景が信じられなかった。らしくもないかもしれないが、夢なら覚めてほしいと切に願った。
頭から流れ出た血は足を伝い床を汚す。そしてその主は、不敵な笑いを浮かべたまま、立って歩いていたのだ。確かに!頭をぶち抜いたはずなのに!
ディオは生きている!!
「し、死なねえ!頭を撃たれたのに…………。おれにはわからねえ…………今……何が起こっているのかさっぱりわからねえ」
「……あの、仮面に……こんな力が、隠されていたなんて……」