Part1 Pantom Blood

□石仮面 その1
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 ジョナサンが勢いよく扉を開く。私はその後についていった。

「ジョジョぼっちゃま、大きい音をたてて何事ですか!」

 そこはジョースター卿の部屋。執事に咎められるも、ジョナサンはそれを無視してこう言う。

「父さん! ぼくとミツネは2、3日ロンドンに行ってきます。その間、この医師たちに完全なる看護をしてもらうことにしました!」

 私たちの後ろには、ディオと接触の無い、ジョナサンが選んだ医師たちと、私が信頼におくメイドが一人いる。

「この医師たち以外からの手当てや薬はいっさい受け取らないでください!」
「お水や食べ物にしても、このメイド以外からは受け取らないでください」

 ジョースター卿は驚き、黙ったまま私たちを見つめている。

「父さん。理由は、今は聞かないでください。ミツネの事も咎めないでやってください……」
「ジョジョ……」

 すると、近くにいた老年の執事が泣きそうな顔になりながら私たちに訴える。

「ぼ……ぼっちゃま、わたしどもの看護じゃあ信用できないんで……?
 なさけなや……」
「これ……」

 その執事の言葉を遮ったのはジョースター卿。彼は目を細めて私たちを見つめる。

「いや……ジョジョとミツネの思っているとおりさせてやってくれ…………なんの理由あってかわからんが、わしは息子と娘を信じるよ」
「と……父さん」
「卿……」

 いつもは否定する"娘"という呼び方。でも、今はなぜかすんなり受け入れる事が出来た。

 その後、私たちはロンドンへ行くため、馬車に乗り込んだ。
 ジョナサンは手の中の毒薬を見つめている。この薬の解明は、大学の研究室では出来なかった。なので、恐らく、ディオがあの街手に入れた東洋の毒薬なのだろう。母が昔話してくれた、漢方薬の類いなのだろうか……。

「父さんの症状は依然悪くなっているようだ解毒剤が必要なのかもしれない……」
「……そうね……」
「ミツネ。付き合わせてしまってすまない。君があの街出身だからというだけで……」
「バカなこと言わないで。私は協力すると言ったし、何よりも私がこうしたかったの。……とはいえ、住んでいたのは8つの時までだし、もう細かいところまでは覚えてないから、あまり頼りないと思うけれど」
「いや……ありがとう、ミツネ。本当に、君がいてくれてよかった」
「……その言葉は、すべてが終わったときに言ってちょうだい」

 ふと、窓の外を見る。
 強い吹雪が吹き荒れ、その風音はこれから起きる出来事に影を落としているようだった。



「しかし、なんですなあ…………ジョジョくん、なかなかたのもしい青年に成長しましたな…………。昔はちょっとたよりなげな少年だったのに……顔つきも変わった」
「うむ……ゴホッ!
 そのために、昔は必要以上に怒ったものだが……まぁミツネの存在も大きいだろう……」
「確かに。ミツネも、彼といて、昔より柔らかくなったように思えます。なぜかひたむきに隠しますが、優しく聡明な女性に育ちましたね」
「いや……彼女は元からああいう子だよ。ゴホッ……いつもジョジョを陰ながら、支えてくれている。昔も、そして今も……」
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