Part1 Pantom Blood
□過去からの手紙 その2
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ディオとジョナサン、私が対峙する。
私も彼も、とても恐ろしい想像をしている。ディオは、自分の父親を殺害していて、今、ジョースター卿を殺そうとしている、ジョースター家の財産を狙っているのだろう。病死のように殺害する毒薬を使って!
ディオは薬と水の盆を近くのチェストに置くと、ニヤリと笑った。
「いったい……なんの話をしているんだ? ……へぇ〜7年前のぼくの父からの手紙だって?
ちょいと見せてくれよ」
ディオの伸びて来た手を、ジョナサンはサッとかわした。
「君はいつも父さんに薬を運んでいたのかい?」
「おいおい、いったい何を言い出すんだ?」
肩をすくめ、ウインクまでして……ムカつくわ!
「答えろ!」
ジョナサンの怒声に少し怯んだ様子のディオ。すぐに表情は余裕の笑みに戻った。
「ああ……そうだよ! それにぼくの実の父と症状が同じだったかしれない……君たちは何が言いたい?」
「その薬を調べさせてもらう!」
ジョナサンの腕が、盆の上の薬に伸びる。ディオは焦っているような表情だった。
ジョナサンが薬を掴んだその時、ディオが彼の腕をつかんだ。
「ッ……!」
ディオはジョナサンを睨み付ける。ジョナサンは少したじろいでいた。
「ジョジョ! その薬を調べるという事は、我々の友情を疑う事! 友情を失うぞッ!」
「なっ……何が友情よ!」
私が声を荒げると、ジョナサンもディオもこちらを向いた。
「私もジョジョも、あなたがその薬をすり替えるのを見ているわッ。それに、本当にただの薬ならば、調べられても困ることなんてないはずよ!」
「"調べる"という行為自体が、ぼくの誇りと友情に傷が付くんだ。……ジョジョォ……その薬を盆の上にもどせよ……そしたら、君のバカげた考えのことは忘れよう」
「減らず口を……!」
「ミツネ。もういい」
フッと、ジョナサンから発せられた声に私は驚く。それは、今までに聞いたことが無いほど低い声で。
ジョナサンは腕をディオから振りほどくと、堂々とした態度で言い放つ。
「ディオ! 紳士として、君の実の父ブランドー氏の名誉にかけて誓ってくれッ! 自分の潔白をッ!
自分の父親に誓えるなら、ぼくはこの薬を盆の上にもど、2度とこの話はしない!」