Part1 Pantom Blood

□切り裂きジャックと奇人ツェペリC
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「風の騎士たちの町!?」

 馬車を走らせ、私たちはとある町に向かっている。馬車の窓からロバートが入ってきて、ひょいとツェペリさんの隣に座った。

「ジョースターさん、ミツネ。裏の世界へ手ぇー回して、たしかにあの中国人をその町で見かけたって情報確認しました!」

 ディオに毒薬を渡し、また屍生人となって私たちの前に現れた中国人の男。あの時はツェペリさんの指示もあってわざと逃がしていたけれど……おかげで、ディオの潜伏先もわかった。

「だとすると、やはりそこのツェペリっておっさんの言う通り、ディオは生きてこの町に潜んでるってことになりやす‼」
「うん!戦いの覚悟はできている!」
「元よりそのつもりよ」

 そう……。むしろ生きているなら好都合。この手で、ジョースター卿の仇を討つことができるというもの。

「おれもだぜ!ここまで首をつっこんだんだッ!
 惚れた女がそこに向かうってんだ。黙っているのは人間じゃあねえしおれの性分でもねえからな」
「しかし!わたしがあの中国人屍生人を逃がしたのはディオの居場所を知るためだったが、同時にその犠牲として奴に『波紋法』の存在を教えたことにもなる」

 こちらの武器を教えた分、不利になると示唆するツェペリさん。それでもやらなくちゃならない。
 それに……。

「知れたところで、叩きのめすことには変わりないもの」

 そうこうしているうちに、馬車は大きなトンネルへと進んでいく。蹄と車輪の音がくぐもり始めたのはそのせいだろう。

「おっ…ウィンドナイツ・ロッドへの入り口!トンネルだぜ!」
「うん…………予定通りの到着だ。太陽のあるうちに行動がとれる」

 ふと窓を見ればトンネルの中は昼の外と違って不気味なまでに薄暗い。まるで巨大な怪物が口を開けているようだった。
 視線を戻すとロバートと目が合う。彼は一瞬微笑んでみせた。心配するな、とでも言うように。
 まったく……屍生人に対抗するための波紋も持たないくせに、どうしてそうも自信満々なのか。呆れてしまう。けれどどうして、心がひだまりのように暖かくなった。


 
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