Part1 Pantom Blood

□切り裂きジャックと奇人ツェペリ その@
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 あれから数日。私とジョナサンは無事に退院した。といっても、怪我が全快した訳じゃあないのだけれど。
 ジョナサンはエリナに任せ、私はイギリス各地を調査していた。
 ディオと、石仮面の動向を追うために。
 焼け落ちたジョースター邸の跡をくまなく探してみたけど、ディオの遺体はおろか石仮面の破片すら見つからなかった。それに、これはジョナサンには言っていないのだけれど、私たちが調査するまえに誰かがあそこで何かを探していた形跡があった。野党か、あるいは別の何かか……。「石仮面は僕らに見えないほど粉微塵になった。ディオはあの炎で完全に消滅した、そう考えようよミツネ」なんて彼は言っていたけれど、得体の知れない恐怖感は私の中で燻るばかり。だから、自分を納得させるためにも、調査する事にしたのだ。
 腕が使えないから、一人じゃあ流石に無理だったけど今回は……。

「ミツネ! こっちは終わったぜェ」
「ロバート……」

 私はロバート、もといスピードワゴンに協力を仰いだ。彼もディオが生きている可能性を捨てきれず自ら探査する予定だったらしい。……名前呼びはその代償だ。別に構いやしないけど。
 ただ、彼の裏社会への手回しなどがあって、短い間にかなりの情報が集まった。移動についてもかなり楽している。

「そっちはどう?何か掴めた?」
「ダメだな。あることと言えば、切り裂きジャックが出たこと、つい最近そいつが活動をやめたこと、こんくらいか……」
「ロンドンはやっぱり切り裂きジャックの話ばかりのね……。私のところもそうだったわ」

 私たちは今、ロンドン郊外の農村地帯にいた。どこまでも麦畑が広がっている、葉も、緑からやや小金がかって来ているよう。

「まぁあれだけのキチガイな犯罪者は歴史を見てもそういねえだろうからな。これからどうする?」
「……折角だから、このままこの農村地帯を調査するわ。もしかしたら、人気の少ないところで暗躍してる可能性もあるし」
「わかった。なら今度は俺も付き合うぜ」

 そう言うと、スピードワゴンは私の横に付き歩き始めた。杖をついてるせいかかなり歩きづらそう。

「……やっぱり、車を使わない?」
「何言ってんだ。今からあいつらのとこに戻るのも手間だろ。一気に行っちまおうぜ一気に」

 俺は大丈夫だッ!
 そんな事を叫んで笑うけれど全くをもって説得力はない。とはいえ、ここで何度言ったところで彼が引き下がらないであろうことは、この数日間ともに過ごして理解している。ジョナサンとはまた違った頑固さがあった。
 私は深く溜め息をつくと、彼のスピードに合わせて歩く。ふと、視線を感じて振り向いた。
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