Long(JOGIO-Assassino)


□"まもる"ということ
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 ――キュッキュという、ものをこする音が、人気の少ないアジト内に響く。
 窓辺で、フィオーレが窓拭き掃除を行っているのだった。そのままでは腕が届かないため、彼女は椅子に登っている。その上でさらに背伸びをしているため、カタカタと椅子は揺れ不安定な状態だったが、彼女は小さな体でバランスを取っていた。

「………………んしょ」

 最後に一番上を、より高く背伸びをして拭き取る。それを終えると、フィオーレはひょいと椅子から飛び降りた。
 そばに置いてあったバケツの水で雑巾を絞る。力が弱いながらに何回も絞った。大部水気の飛んだ雑巾を、フィオーレはバケツとともに洗面所へ運び、雑巾はしていの場所で乾かしてバケツは水を捨てて流しのそばに置いた。
 やる事を終えてしまったフィオーレ。次にやる事を考えた。
 今日は珍しく、アジトに他のメンバーはいない。
 イルーゾォに言われた分の勉強はしてしまったし、ナイフの鍛練をしたいと思ったが一人ではダメだとリゾットに強く言われている。体術を訓練だって、誰かがいなければ殆ど意味を成さない。柔軟運動でもしようか……そう考えた時だった。

 ――♪ ♪♪ ♪ ♪

「……?」

 外から歌が聞こえてきた。女性のものと思える高い声だった。
 窓から覗いてみれば、すぐ近くの広場のところに小さな人だかりが出来ている。歌っている人物はその中央にいるようで、ここからではその姿は見えないようだ。

「…………」

 行ってみたいが、アジトに誰もいないときは、外に出てはいけないと言われている。
 だが、そこは幼さゆえの強い好奇心が勝り、フィオーレは場所を示した置き手紙を置いて出かけた。
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