Long(JOGIO-Assassino)


□おべんきょう
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 ――翌日。フィオーレの教育が始まった。最初の担当はイルーゾォ。彼は手始めに、彼女に読み書きを教えていた。

「……よし。それじゃあ最初から書いてみようか? 発音しながら書くと、覚えがいいらしいからそうしてみな」
「ん……A(ア)、B(ビ)、C(チ)……」

 その時、アジトと外をつなぐドアが開き、リゾットが帰ってきた。

「あ。おかえりリーダー」
「あぁ。……進んでいるか?」
「まぁね。思った以上に理解が早くて助かるよ。……そうそう。フィオーレ、こういう時、なんて言うか、覚えているかな?」
「……ベ、Bentornato(おかえりなさい)」
「フ……お前の言うとおりのようだな」

 リゾットは椅子に座り、鉛筆を持つフィオーレの頭を撫でる。彼女はほんの少しだけ目を細めた。

「他にもいろんな挨拶を教えたよ。軽い日常会話なら出来るくらいね。今は書くほうをやってたとこかな」
「そうか……フィオーレ、勉強は楽しいか?」
「たの、しい……?」
「やってる事に気持ちが高ぶるというのかな? とにかくやっている事に嫌だと感じなければそうなんだよ」
「いや……ううん。いや、ちがう。べんきょう、たのしい」
「よかった。楽しく出来ないと覚えも悪いしな。あ、リーダー。体術の方はどうする? 俺、午後は仕事なんだが……」
「ふむ、そうだな。俺は報告書をまとめなくてはならないから……ギアッチョかプロシュートあたりに任せるとしよう」
「了解。よしフィオーレ。ならそれまでにABCをすべて覚えてしまおうか」
「うん……」

 書き取りを続行する。リゾットもイルーゾォも、そのたどたどしい手付きに、思わず頬が緩んでしまうのを感じた。
 
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