Long(JOGIO-Assassino)
□おべんきょう
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「――うし。体の動かし方の基本はこんなもんだろ。やってみろ」
「う……む……」
「あー……スジは悪かねーが、もうちょいキレが欲しいな……」
「きれ……?」
午後。結局体術のほうは、プロシュートが教える事になった。二人は一度外に出て、アジト近くの空き地に来ている。
「まぁキレなんていうけどよ……そもそもお前は体力が無いもんな。こりゃ動かし方よりも体を鍛えるほうが先だな」
「……?」
「鍛えるっていうのはな、体を強くするって事だ」
「つよく?」
「あぁ。鍛えりゃ動かし方なんざ、体の感覚で覚えられるもんだ」
「…………うん」
本当かよ。そう思わず突っ込みを入れたくなるほど、フィオーレの表情は変わる事が無かった。まぁイルーゾォから聞いた話だと、彼女はかなり物覚えがいいらしいから、そう手のかかる教え子にはならなかろうとも思った。
「……よし。あと30分したら休憩するぞ。それまで頑張れよ」
「うん……」
フィオーレは先ほどの教えどおりに体を動かし始める。彼女が体を伸ばすたびに、体中に走るツギハギが突っ張るので、裂けやしないかとか、痛くないのだろうかという思いが、プロシュートの頭を掠めて、そしてらしくないなと首を振った。
「?」
「あぁ、いや、なんでもねぇ。続けな」
不思議そうな顔をしながらも、フィオーレは再開する。
プロシュートは心の中で、自分を含めたチーム内の者たちは、この少女の魅力に取り付かれているのかもしれない、そう思った。