valuable you
□Vol.3
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「一十木くんは、すごいね。若いのにもう働いてて」
「あははっ。桜。それって、おばちゃんが言うせりふじゃない?」
「そんなことないよ。わたしたちなんて、学校行って、楽器を弾くだけだもん」
「そっちのほうがすごいよ!桜は何が弾けるの?」
「わたしは、ピアノとフルートと、あとはギターかな」
「ギター弾けるの?!まじ?!俺も、超得意なんだ〜。今度一緒に弾こうね」
あ、また太陽みたいな笑顔だ。
わたしも、その笑顔につられて笑った。
「お待たせ〜。たく、先生のせいで遅れちゃったじゃん」
「大丈夫?莉子?」
「一十木くん。大丈夫だよ。莉子が好きでやってるんだから」
わたしが、そう言うと莉子の顔が真っ赤に染まった。
ふふっ。
いつも、やられてばっかりだから今日は仕返ししてやる。
「で?あんたたちは、何の話してたの?」
あ、話題変えやがった。
「楽器の話だよ〜。桜って、ギター弾けたんだね」
「まぁ、そうよね。小学校の時の好きなお「ちょっと莉子!余計なこと言わなくていいからっ」
やっぱり、莉子のほうが何枚も上手だった。