valuable you
□Vol.2
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「あ、愛子〜。こっちこっち」
カフェに入ると、莉子が手を振ってきた。
ん?
横に、誰かいるみたいだけど。
莉子の知り合い、かな。
「ごめん。遅くなった」
「大丈夫〜。音也と時間つぶしてたから」
「音也?」
ちらっと、横の男性に目を向ける。
すごい。
髪の毛真っ赤だ。
目が合うと、その彼は太陽のような笑顔を向けてくれた。
わたしは、ペコリと頭を下げて莉子の前の席に座った。
「ははっ。やっぱり、愛子は知らないかぁ〜」
「ん?なんのこと?」
先に頼んでもらっていた、コーヒーに口をつけると莉子がニヤニヤしながら言ってきた。
「この、一十木音也の正体を!」
「ばっ、莉子!声が大きい!」
彼、もとい一十木くんが莉子の口を勢いよくふさぐ。
・・・お仲がよろしいようで。
あ、眼鏡曇った。