DOBLEFLAP
□プロローグ
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《そいつ》は、突然現れた。
白銀の機体。巨大な体を身軽に動かし、次々と味方機を撃破された。
巨大人型兵器ダブルフラップを使った戦争が始まったのは二年前。とある機体の所有権を巡っての戦争である。
ダブルフラップは、大昔に使われていた人型兵器の設計を元にしているが、それだけではない。ハワイの地下遺跡で謎の機体が発見された。
白を基調としたカラーで、武器は存在しない。背部には大きなシルエットがあった。
翼。翼が、あった。
その機体はこれからの科学技術を覆すほどの貴重な物であった。
だから、戦争は始まった。
だが、謎の機体は一機だけではなかった。
ロシアを中心にアジア州の国々が手を組んでトライピオを結成した。トライピオは莫大な金を使用、ダブルフラップを大量生産した。
そして今日、新型ダブルフラップ《リベリオン》をレン・キーヤ大佐が操縦していた。
「初のお披露目だ。性能を引き出してやる、リベリオン!」
基地を襲撃してきた敵機は、アメリカが結成したオール軍の新型《ラーク》。
「ふん、雑魚が!」
コックピット内部で、レンは言葉を吐いた。サーベルを展開し、《ラーク》のコックピット部分を一突き。《ラーク》はたちまち爆発し、《リベリオン》を覆っていく。
「こんなものじゃない、俺は、まだやれる!」
レンは狂気にとりつかれていた。それは、敵を倒したことで得られる快楽によるものだった。
その時だった。サーベルを打ち抜かれ、《リベリオン》はたちまち爆風に巻き込まれた。
「なんだ、一体……」
上部モニターに、人型の機械が映っていた。蒼く鮮明で、それでいて美しい。
あれは粒子か。
粒子が、翼の形状を宿していた。
ダブルフラップだ。まさしく、ダブルフラップだ。
でも、何かが違う。
まるで、人を殺すための機械ではないというようだ。
相手は何かをこちらに向けていた。あれは、銃器だ。ビームガンだ。
「このやろー!」
ブーストを最大出力まで展開し、空高くジャンプした。
粒子を結束した武器サーベルを振りかざす。
「うおおお!」
サーベルの動きは、止まった。
「やられた!」
背部から銃撃を受け、《リベリオン》は落下していった。
落下したものの、《リベリオン》のダメージ表示は中破と表示されていた。
だが、戦闘の意思は薄れていた。
《リベリオン》の戦闘で、オール軍のダブルフラップの損害は大きかった。フラップ六機が撃墜され、二機が大破したのだ。だが、謎の機体の登場によりあっという間に戦闘は終了した。その機体は後にクラブと名称され、瞬く間に戦争でのキーパーソンとなった。
この戦闘は、後に【悪魔降臨の日】と呼ばれるようになる。