AKB48 青春ゲーム
□第二話 特技
1ページ/1ページ
「やっぱ僕の勝ちだったね」
「おめぇら、ぜって〜ゆるさねぇ!」
審査員である優子たちの結果は、当然のように直人の勝ちだった。
「愛奈、お前は俺の味方だよな?」
「いいえ」
「……まじかよ」
バカ騒ぎがしばらく続き、その後直人は一人家を出た。
午後五時。丁度良い時間だ。
直人はバイクでとある場所に向かった。それは、近くの駅だった。
「あ、ナオ!」
駅のホームから一人の少女が小走りでやってきた。
AKBのメンバー、横山由依である。彼女はチームKの一人であり、直人の良き理解者でもある。
彼女は京都から上京しており、少し言葉になまりがある。
「やあ、どうだった?久しぶりの実家は」
「みんなとしとってました」
「そりゃそうでしょ。半年ぶりだし」
今日は、京都に帰っていた由依を迎えに来た。
「このまま晩飯食いにいこっか」
「じゃあ、私牛丼がいいです!」
「由依、牛丼好きだもんね。よし、じゃあいこ!」
由依を後ろに乗せ、バイクを発進させた。
……似ている。
もうこの世にはいない、姉さんに。
―姉さんが、もういない?
あれは、中一の春。姉さんは、殺された。今も逃げ続けている、誰かに。素性の分からないその人物は、姉さんを殺し、今ものうのうと生きている。
俺には、それが許せない。
復讐……したい。
その人物を、この手で殺してやりたい。
「おいしい!」
目の前で牛丼を食べている由依は、幸せそうな顔をしていた。
「いや、僕が食べてるこの豚丼もおいしい」
「じゃあ、それ一口ください!」
あーんと、小さく口を開ける由依。
……入るわけないじゃん。
「あーん」
それでもイタズラ心をくすぐられたか、直人はそのまま口の中に突っ込んだ。
「わふわふ!」
何喋ってるかわからないが、たぶん文句と「おいしい」だろう。