AKB48 青春ゲーム

□第二話 特技
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「やっぱ僕の勝ちだったね」
「おめぇら、ぜって〜ゆるさねぇ!」
 審査員である優子たちの結果は、当然のように直人の勝ちだった。
「愛奈、お前は俺の味方だよな?」
「いいえ」
「……まじかよ」
 バカ騒ぎがしばらく続き、その後直人は一人家を出た。


 午後五時。丁度良い時間だ。
 直人はバイクでとある場所に向かった。それは、近くの駅だった。
「あ、ナオ!」
 駅のホームから一人の少女が小走りでやってきた。
 AKBのメンバー、横山由依である。彼女はチームKの一人であり、直人の良き理解者でもある。
 彼女は京都から上京しており、少し言葉になまりがある。
「やあ、どうだった?久しぶりの実家は」
「みんなとしとってました」
「そりゃそうでしょ。半年ぶりだし」
 今日は、京都に帰っていた由依を迎えに来た。
「このまま晩飯食いにいこっか」
「じゃあ、私牛丼がいいです!」
「由依、牛丼好きだもんね。よし、じゃあいこ!」
 由依を後ろに乗せ、バイクを発進させた。
 ……似ている。
 もうこの世にはいない、姉さんに。


―姉さんが、もういない?
 あれは、中一の春。姉さんは、殺された。今も逃げ続けている、誰かに。素性の分からないその人物は、姉さんを殺し、今ものうのうと生きている。
 俺には、それが許せない。
 復讐……したい。
 その人物を、この手で殺してやりたい。


「おいしい!」
 目の前で牛丼を食べている由依は、幸せそうな顔をしていた。
「いや、僕が食べてるこの豚丼もおいしい」
「じゃあ、それ一口ください!」
 あーんと、小さく口を開ける由依。
 ……入るわけないじゃん。
「あーん」
 それでもイタズラ心をくすぐられたか、直人はそのまま口の中に突っ込んだ。
「わふわふ!」
 何喋ってるかわからないが、たぶん文句と「おいしい」だろう。

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