砂狼

□序章
1ページ/2ページ


『忘れ物はない。
 薬ももった』

ざっざっ

廃屋のなかから少女が現れた

少女というのは
いささか語弊がある

13・4歳くらいだろうか

明るいミルクティアッシュのかみに

黒い装束 

頭に生えた白い耳に
こしのあたりの白い尻尾


歩いていた少女は
少しずつはや歩きになり
最終的にはかけだした

体が前傾姿勢になり
気づいたときに
そこにいたのは

少女ではなく白い狼

日の光があたり
銀色に輝く毛を翻し
狼は山の中に
かけだした
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ