夢小説

□薄桜鬼
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加:「ここが京の都…!」
[文久三年三月‐]
[早咲きの桜が咲き始める頃、私は京にやってきた]加:「さて、先ずは叔母さんの家を探さなくちゃ!」
[母が他界してから早十年‐][私は気の優しい父と二人で江戸に住んでいた][しかしつい先日たった一人の肉親だった父も病で死んでしまい、父が最後に残した「私が死んだら京にいる叔母さんを訪ねなさい」という言葉を胸に住み慣れた江戸から遠く離れたこの京の都にやってきた]
加:「この辺りに叔母さんの家があると思うんだけど…」
叔母さんの家を探しながらキョロキョロ歩いていると男の人に声をかけられた
男:「お嬢ちゃんどうしたんだい?」
加:「あ、えっと、この辺に渡部さんのお宅があるかと思うのですが…」
男:「あぁ、渡部さん?」
加:「ご存知ですか!?」
男:「あぁ。けど渡部さんなら一週間ぐらい前に引っ越したよ」
加:「引っ越した!?」
男:「あぁ」
加:「あ、あの、何処に引っ越したかご存知ありませんか…?」
男:「さぁ〜。そこまではわからないねぇ」
加:「そうですか…」
男:「渡部さんに用があったのかい?」
加:「えぇ、まぁ…」
男:「そうか…。役に立てなくてすまないねぇ」
加:「いえ。ご親切にありがとうございました。それじゃあ失礼します」
男:「気を付けてね」
そう言って親切な男の人と別れた
加:(困ったな…。京に叔母さん以外の知り合いなんていないし…。京どころか叔母さんが何処に行ったのかわからないんじゃ何処に行ったって独りぼっちだよ…)
暫く肩を落として歩いていたけれど
加:(くよくよしてても仕方ないよね!前向きに考えて今日泊まる宿を探さなくちゃ!)
そう自分を奮い立たせ宿を探してみた
が、しかし…
加:(空き部屋が…ない…っ!)
何故かどこの宿もお客さんがいっぱいで空き部屋がないという
加:(どうしよう…。日も暮れてきちゃったしこのままじゃ私、野宿だよ。しかもこのままずっと宿が見つからなかったらのたれ死んじゃう!)
そうでなくとも京の冬は江戸の冬より厳しい
一日外にいたら凍死してしまうんじゃないかと思うくらい
加:「っくしゅん!」(あー、冷えてきたかも…)
体をさすりながら下を向いて歩いていると
<どんっ>
加:「わ」
?:「っ」
誰かにぶつかってしまった加:「す、すみません!」
浪:「いてぇな」
加:「あ、あの、本当にすみません!」
浪:「ん?よく見りゃ綺麗な嬢ちゃんじゃねぇか」
浪:「嬢ちゃん知ってるか?ごめんで済んだらお役人サマはいらねぇんだ」
浪:「ちょっと来てもらおうか」
浪士の一人に腕を掴まれた加:「いや!放して!」
<パシッ>
勢い良く振りほどいた手が浪士の顔に当たってしまった
加:「あ…」
浪:「こんの女…。もう許さねぇ!」
そう言って浪士が刀を抜いた
加:「す、すみませんでした!」
私は一目散にその場を逃げ出した
浪:「待ちやがれ!」
加:「はぁ、はっ」
暫く走った所で路地裏に逃げ込んだ
加:「はぁっ」(ニ、三人ならどうにかなるかとも思ったけど…人数が多い…)「❗っ…」
鋭い痛みを感じて見ると腕から血が出ていた
加:(逃げてる時にどこかで切ったんだ…)
浪:「いたぞ!こっちだ!」
加:「❗」
怪我のことを気にする間もなく私はまた走りだした
加:「はぁっ、はぁ」
浪:「おおっと。逃がさねぇぜ?」
加:「❗」
浪:「へへへ」
加:「っ」(囲まれた…!)
浪:「ぎゃああっ」
その時、男の悲鳴が聞こえた
加:「⁉」
浪:「何だ!?何事だ!」
?:「大の男がよってたかって一人の女を追い回すとはみっともねぇ」
?:「全くだぜ」
振り向くとそこには
加:「❗」(浅葱色の…羽織…)
聞いたことがある
浅葱色の羽織に背中に「誠」の文字
加:(新撰組…!)
新撰組は浅葱色の羽織をまとい、京の治安を守るために浪士を斬り捨てる有名な人斬り集団だと‐
浪:「し、新選組…!」「う、うわああっ 逃げろォ」
?:「何だ。呆気ねぇな」
?:「おい、あんた」
加:[はっ]
目の前で起こった出来事に唖然としていると声をかけられた
?:「大丈夫か」
加:「はっ、はい!大丈夫です!」
?:「💡腕、怪我してんじゃねぇか」
加:「あ、これくらいどうってことありません!」
?:「見せてみろ」
言うが早いか男の人は私の腕をとった
加:「え、あ、あの…」
?:「出血はそんなにねぇみてぇだが…痛むか?」
加:「い、いえ…。大丈夫です」
?:「とりあえずこれ巻いとけ」
そう言って布を傷口に巻いてくれた
加:(意外…。新撰組ってもっと怖い人達ばっかりだと思ってたけどこんな優しい人もいるんだ…)
?:「優男だなぁ、左之」
左:「うるせぇ」
私が密かに感動していると?:「左之!新八!」
遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえてきた
新:「土方さん」
土:「ん?何だそいつは」
土方さんと呼ばれた人は私に鋭い眼光を向けてきた
加:(ひっ。やっぱり怖いよ!)
新:「浪士達に襲われているところを助けたんだ」
土:「ったく何だって女がこんな時間に出歩いてんだ」新:「どうする?」
土:「どうするもこうするも…」
二人は私をどうするか話しているようだ
左:「よし。これで大丈夫だろ」
暫くじっとしていると左之と呼ばれた男の人が手際よく手当てをしてくれた
加:「あ、ありがとうございます…」
左:「礼を言われるようなことじゃねぇって」
加:「いえ!それだけではなくて、傷の手当てもそうなのですが、浪士からも助けていただいてありがとうございました」
左:「まぁそれが俺達の仕事だしな」
そう言って左之と呼ばれたその人は柔らかく微笑んだ加:(わっ…。こんなに優しく笑うんだ…)
思わずドキリとしていると土:「おい、小娘」
不意に声をかけられた
か:「は、はい!」(というか小娘って…)
土:「家は何処だ?」
加:「家…ですか?」(あれ…?なんかフラフラする…?)「家…は…」
私はそのまま意識を失った
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