main(short)

□38.8℃
1ページ/1ページ



----38.8℃----

DongHae×EunHyuk...




「はあ・・・はあ・・・」
つらそうな熱い呼吸の音だけがこの部屋の音。

無理して笑ってきたんでしょ。
どんな時も人の目があれば元気に笑ってみせる。
そんな恋人が誇らしいけれど、そこまでしなくていいのにって言ってあげたくなる。

おなじ芸能人なのに意識が甘いって怒られるかな。
でも、怒られてもいい。
ヒョクチェが俺のことを考えて口にする言葉なら、罵声だってなんだって。
俺にはすべてが子守唄みたいだよ。

「・・・ヒョク」
宝物とおなじ意味のその名前を呟いて、頬に手を伸ばす。
熱い。
かわいそうに・・・
俺が代わってあげられたらいい。

「ど・・んへ・・・」
湿り気を帯びた声。
うわ、なんだかゾクゾクしちゃった。

呼ばれたってだけでなんで心がいっぱいになるんだろう。
ヒョクに対してだけ、俺のコントローラーはすぐ壊れてしまう。

「みず、飲む?」
「・・・ん」
微かに頷いたヒョクに笑いかけて、氷につけてたボトルを引き寄せる。
飲みやすそうな量を含んで、半分だけひらいてる唇に注いだ。

コクコク。
嚥下されていくのを見届けてもう一度。

「・・・ふ・・ぅッ」
熱い舌がそーゆーコトしてる時みたい。
思わず味わってしまって、ヒョクが身じろぎした。

「美味しい。ヒョクの舌」
「・・・ばか、伝染ったらどうすんだよ・・・」

にっこりして見せるとそう言ってぷくっとふくれた。
ちょっと子供帰りしてるのかな。
すっげ可愛い。
困る。

「伝染してよ、むしろ。ヒョクとおんなじになりたい」
「ちょ・・、んッぅ」
本格的にかぶりついた。
とまんないよ。
めいっぱい吸い付いたら、ヒョクを苦しめてる菌をもらってあげれる気がする。

「ん、んッ・・もっと、くち開けて?」
「んやッ!・・あ、ふッ」
どっちのだかわかんないくらい唾液をかき混ぜる。
ちょっと噛み付いてみたらぴくっと体を震わせた。

「ちゃんとあとで体拭いてあげるから、ねえ・・・しよ?」
「ダメ・・・ダメ・・・ッ」
こいいう時だけすぐ嘘つくよね。
体を少しずらしてお互いのを摺りあわせただけ。
なのに充分良さそうにしてるよ?

「ヒョクはなんもしなくていいよ。熱が飛んでくくらい良くしてあげる」
「あ!!・・・はあ・・ッん!!」
ね?と笑いかけてそこをきゅっと掴んでみる。
ほら、ちょっと強くしたのにもうこれがきもちいんでしょ。

「任せて、お願い。ヒョクチェ・・・」
「・・ばかドンヘ・・・。あしたどうなっても、知らないからな・・・」
いいよ。
どうなったっていいもの。

冷えないようにだけ気をつけないとね。
布団にもぐりこんで俺は、ヒョクの熱さをいろんなとこから吸い取った。



                 *



「・・・はあ、・・・良かった・・・」
ん・・・?
おでこになにかが当たる感覚で意識が浮上した。
それとヒョクのひとりごと。

今度は手のひらが前髪をかき分けてまたおでこに触れた。
なんども確かめるようなその動きは、きっと熱を測っているんだろう。

「・・・へーきだよ、ヒョク」
「うわ! お、起きてたのかよ・・・」
ぱちっと目を開けて伝えると、ヒョクはすこしバツが悪そうな顔をして手を引っ込めた。

「どうなっても知らないんじゃなかったの?」
そう言って俺を覗き込んでるヒョクのほっぺを摩ってみる。
昨夜あんなに彼を苦しめた熱は、キレイになくなっていた。

「そ、そうだよ。知らないよドンヘなんて」
ぷいっと背けた横顔。
でも耳が赤いのがよく見えるよ。

「ふふ、まあ、いいけど。俺は全然元気だから、心配しないで」
「心配、してない!!」
可愛くてたまんなくなってぎゅうっと抱きしめた。
耳元で強がる声が聞こえる。
すっかり素直じゃなくなったけど、ぜんぶ分かってるからいいや。

「ねえ、また風邪ひいたら、お医者さんより先に俺んトコ来て?」
どんな悪いモノも吹き飛ばしてあげる。

「ヤダ。襲われるもん」
誓うような気持ちで見つめたのに、今度は反対側に顔を背けた。

そうしたところでそっち側の耳も赤いのが分かって俺は微笑むだけ。

「いいじゃん、治ったんだから」
その耳に吹き込んだら、ちらっとだけ俺を見てほんのすこしだけ頷いた。

守ってあげる。
なにからだって。
ありあまる想いをぶつける勢いで、もう一度健康になった体を抱きしめた。



---End----




さっきまで宥姫自身がそれくらい熱がありましたwww

ふわふわする意識の中でお話が浮かんだので、下がり始めた途端書き連ねてみました!!

「お医者さんより先に俺んトコ来て?」
が言わせたかったんです。
ドンヘちゃんならヒョクたんの熱くらいばっちり治しちゃうんじゃないかと。

はい、気が済んだのでおとなしく寝ますwww


2012.11.26


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ