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□おやすみ。
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----おやすみ。----

DongHae×EunHyuk...



「・・・ぅ、っく・・・」
俺の膝のところで、さっきからずっとヒョクチェが泣いている。
よくそんなに水分が出るもんだね。
あの子せいで流す涙なんて、一滴もいらないっていうのに。

「ヒョクは悪くないよ」
やっと手入れが功を奏した黒髪を撫でてあげる。
心にもないことを言ったのに、ヒョクは縋るみたいな目をして俺を見上げた。

「・・・でも、俺・・・」
でもじゃないんでしょ。
そう言ってほしいから俺んトコに篭ってるんでしょ。
その目をしたら俺がなんでも許してあげるのを知ってるんでしょ。

「だいじょぶだから。ね?」
囁いて濡れた睫毛にキスをする。
そしたらヒョクは、ほうっと憂鬱が詰まった息をついた。

「ドンヘ・・・」
ヒョクが呼ぶならその名前は魔法になる。
俺はもう、その涙を止めることしか考えなくなるんだ。

頬に唇に首筋にこの上なく優しく口付ける。
そこらじゅうにそうしてから頭を撫でに戻ってくる頃、
「ねぇ、もっと・・・」
ヒョクは熱に浮かされた声を出すようになる。

「ヒョクチェ、好きだよ・・・」
浮かされてるのは俺の方か。

俺の元から絶対離れないくせに。
恋人をつくることは絶対やめない。
寂しければ、喧嘩をすれば、そのたびにやってきて。
抱かれることでぜんぶを忘れる。

「ど、んへ・・・」
それなのに・・・どうして愛しそうに俺を見るの。
アクマだよアクマ。
俺が抗えないように、きっとすべてが計算されてるんだ。
ヒョクの口から『好き』なんて聞いたことがない。
それでも、もしかして・・・と思わせる天才。

俺にしか見せない顔がある限り、きっと一生囚われたままだと思う。

ああ、だったら。

「口、開けて?」
「んんッ・・・? な、に・・?」
ベッドサイドの棚にいつもはいっていたそれを、口移しで与えた。
こくん、喉が動くのを見て満足する。

「なんでもないよ」
「でも・・なんか・・・薬?」
「食べてないんでしょ。栄養剤みたいなものだよ」
「ふうん・・・そっか・・・」

まるで子供みたいに笑う。
俺が与えたものを疑わずに摂取するんだね。
俺はもう、それだけでもいいんだけどさ。

ヒョクが薬で深い深い眠りに落ちていったら。
この部屋に閉じ込めてしまったらいいよね。
丈夫な鍵はもう買ってあるんだ。

ヒョクが俺の心を捕えてしまったように。
俺はヒョクの自由を捕まえる。

だってそうするのが一番いいでしょ?
俺のことしか見なければ、泣くことだってなくなるんだから。

「あ、れ?・・くらくら・・する」
焦点が合わなくなる瞳。
指の先まで入らなくなる力。

たとえ動かないヒョクだって俺は愛すから。
だから安心して世界にさよならしていいんだよ。

「眠って? ヒョクチェ・・・」


 
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