導き無きセカイへ
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「太乙!いるー?」
太乙のラボの入口で、普段身に付けている宝貝を外しながら問う。
奥から「おいでよ」と了承を得て、声の元へと歩む。
「太乙、宝貝の整備を頼める?」
「うん、いいよ!ってか何年振り?」
「ついこないだ、黄巾力士に乗ってるところを見掛けたばかりだよ。」
「そうだっけ?」
仙人に相変わらず時間の概念は薄い。
肩の【抱壁陣】と足首の【圧天輪】、背中の【千操槍】を太乙のラボの机に並べる。
「太乙も聞いてるんでしょ?計画のこと。」
「あぁ…一応はね。瀬音も参加予定なのかい?」
「まーね。」
計画はまだ始動していないものの、話だけはさすがに十二仙にも通ってるみたいだ。
「それに備えての整備、って事かい?」
「そんなとこ。」
短く答えて、私はラボの片隅に置かれたソファに深く座る。
実際には、違うんだけど……ね。
「【千操槍】の調子はどう?使えそうかい?」
「あー…まだまだかな…」
痛いところを突かれて、ついソファにうなだれる。
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