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□Level.23 だっかん
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連合軍は魔獣がばらまかれた平原を突破し、メインキャラを中心に編成された選抜隊は儀式の地へと侵攻した。
高い岩場に囲まれた閉塞感のある道を通り、民族的な模様の施された柱が両脇に立つ、ぽっかりとした開口部をくぐる。
すると、象牙色の壁に刻まれた神秘的な文様の数々と、分かれ道が一行を迎えた。正面に、一つ。左右に階段があり、昇った先に三つ。いずれも入口の両脇に赤々と燃える火が灯され、空間内の明るさを保っている。
ふうっと息を深く吐き出したクリスは、険のある目で正面に広がる最終ダンジョンを見つめた。

「なんとか、たどり着いたな」

「えぇ、外ではまだ戦いが続いているようですが、持ちこたえてくれるはずです。今は、中で行われている儀式…紋章の破壊を阻止するのが先決です」

アップルの言う通り、耳を澄ませば遺跡の入口の方から武器の衝突音が聞こえてくる。パーティーメンバー以外が本拠地で待機しているという、ゲームのシステムとは違うのだ。皆、選抜隊を儀式の地へ通すために死力を尽くしてくれている。

「どうするんだ?」

ゲドは誰にともなく尋ねた。奥へ進むしかない状況で、何が「どうする」なのかというと、それは言うまでもなく目の前の進路のことである。
儀式の地へたどり着いたのはいいが、着いて早々、別れ道。この構造をあらかじめ知っていたイノリとササライを除いて、皆の表情に煩瑣の色が濃くなっていた。
ササライは一歩前に進み出、この遺跡について説明を始める。

「この先には、かつてハルモニアの偵察隊が調査に入ったことがあります。中央に大舞台とその四方にステージを持った平均的なシンダルの遺跡です」

そこで言葉を一旦区切り、懐から地図のような紙切れを出した。恐らく偵察隊が調査に入った時の記録なのだろう。それを広げて見せながら、彼は説明を再開した。

「この構造は力を一点に集めるためのもので、多分…四方には火、水、雷、土の紋章が配置され、大舞台に、ルック自身が持つ真の風の紋章があるはずです」

「じゃあ、その真ん中まで一直線でいけばいいんだな」

ジョー軍曹が当然のように結論を出したが、ササライは歯痒そうに首を横に振る。

「いえ、既に四方に真の紋章が配置されて、結界が完成しています。これを打ち破るのは、人の力では無理でしょう。ですから、四方のステージに配置された真の紋章を取り戻した上で中央の大舞台に向かう必要があります」

さすがに一筋縄ではいかないようだが、事は急を要する。シーザーは苛立ちを声に滲ませながら反論した。

「だがそんな時間はないぜ。あの野郎の狙う『真の紋章の破壊』が起こったら俺達どころか、グラスランド一帯が吹っ飛ぶことになるんだろう」

「えぇ、その影響は計り知れません。一つでさえ、人知を超える真の紋章の力がこの場に五つ集まっているのですから…」
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