player:prayer

□Level.21 そうそう
1ページ/16ページ

アルマ・キナンの戦士達、そしてササライ率いるハルモニアの小隊も戦列に加わり、連合軍は破竹の勢いで魔物を殲滅していた。
劣勢を盛り返しての勝利。その高揚感を冷めさせぬまま、連合軍はビュッデヒュッケ城へ帰還した。
その翌日。

暫く沈黙していた扉に響く、乾いた開閉音。会議の場に最後に現れたのは、連合軍の雄たる人物であった。

「ヒューゴさんが来ましたから、本題に入ってもらえますか」

これで、広間に主要なメンバーが揃った。アップルは「詳しい説明は後で」と言って先の戦いに加勢したササライに、改めて説明を求める。
と、それを受けてササライが発言するより早く、ディオスがずいと進み出て咳払いを落とす。

「分かりました。それではこちらにおわしまするハルモニア神聖国の麗しき神官将ササライ様に代わり、私が説明をいたしましょう」

上司を過剰に敬った口調で喋る部下に、ササライはむず痒そうにする。

「いや…いい、ディオス。僕が説明する」

「あ……そうでございますか」

ディオスが決まりが悪そうに引っ込むと、空気の如くさりげなく会議の間にいるイノリは、不意にササライと目が合ってしまい、身体を硬直させた。
一時期は部下として雇い、その後敵となって戦場で相対し、今度は協力することとなった。イノリとの関係の目まぐるしい変遷を思い出したのだろう、ササライは少しおかしそうに微笑する。そしてすぐに真顔に戻り、彼は語りだした。

「この戦いは、かつて我がハルモニア神聖国の神官将だったルックという男が引き起こしたものです。彼は、その身に真の風の紋章を宿す者。そして、火、水、風、土、雷の五行の真の紋章を全て手にすることを狙い、それを成し遂げました」

ササライは鬱屈とした表情で、己の右手に視線を落とす。イノリは、彼と同じく真なる五行の紋章の継承者であるゲドの方をそれとなく見遣るが、その顔に感情は見えない。しかし、紋章を失った右手は、悔しさを潰すように固く握られていた。
戦いには勝利したものの、奪われてしまったものはあまりに大きい。シーザーは軽く息を吐き、ササライの言葉を引き継ぐ。

「あぁ、そして奴は真の紋章の破壊を狙っているということだ。その真の目的はまだ分からないが、それが現実のものになれば…それはあの真の水の紋章の暴走にも劣らぬ…いや、あれとは比べ物にならないものになるだろう」

「具体的には?」

豪胆にも率直な質問をぶつけるデュパに、ササライは少々躊躇った後、口を開いた。

「これは、神殿での予測ですが…このグラスランド全てが消え去るほどのものになる可能性はあります…」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ