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□Level.7 あきす
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「それにしても…無茶をしたな」
「いいでしょ、この通り無事なんだから」
ベッドに座っているイノリは、足を投げ出してブラブラさせながら、開き直ったように言う。
「…無事に済まない可能性の方が高かっただろう」
「う………」
ゲドは少し咎めるようなニュアンスの口調だった。イノリを見るその瞳にはほんのりと怒りの色が浮かんでいる。
口には出さないが、心配してくれているのだろう。そう信じたいイノリだった。
「ごめんなさい。……でも」
イノリは謝罪の言葉を口にしたが、更に続ける。
「皆を守りたかった。自分より、皆の負傷を抑えたかったの」
どんと胸を張って言った後、イノリは「勿論私も死にたくはないけど」と付け足す。
単純な理由だったが、どうやらゲドは理解してくれたらしく、少し困ったような顔で微かに笑みを浮かべたように見えた。
多分イノリの目の錯覚である。
「…他の奴らは無事だ。お前のお陰でな」
「良かった…!」
彼らと行動を共にしてから、謝ってばかり、失敗ばかりの自分が少しでも役に立てたのがむず痒く、イノリは微笑んだ。
「…そういえば、皆は?」
失礼かもしれないが、イノリは自分がゲドに介抱されるというこのシチュエーションを、何となく不自然に感じていた。
そして、自ら進んで介抱などしそうにない彼が自分の側にいる理由を、他の仲間がここに居ないからだろう、と推し量る。
「…先にブラス城に向かわせている」
イノリの予想は見事に的中した。
…お荷物にはなりたくない。
そんな思いがイノリを焦らせる。
「じゃあ、私はもう元気だから早く追い付こう…!」
こんな台詞も最近吐いたばかりだ、と思いながらイノリは拳を握り締め、鼻息荒く立ち上がる。
張り切っていたからこそ、ゲドの次の一言には軽くショックを受けるのだった。
「………すまないが、今は無理だ」