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□Level.7 あきす
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「よし、早く帰ろう!」

学校から家に帰るようなノリで、湿気っぽい隠し通路を抜けるイノリ。
破れた絵をくぐり元の通路に戻ると、暗闇に慣れた目の所為で全てが眩しく感じた。

そして気付いた。空気が、先程までと全く違っている。息苦しい、緊張した空気だ。

「動くなっ!」

野太い声で叫んだのは、イノリでもゲドでもない。

…まさか。



最後の最後で、思いがけない事態になっていた。無論、悪い意味だ。
イノリは目の前の光景を、何かの間違いだと信じたかった。

「あれ……留守じゃなかった…の?」

イノリの安心しきっていた笑顔は、引きつった苦笑に変わっている。

「……」

不利な状況に、ゲドも珍しく些か焦りを顔に出している。
滅多にない彼のその表情は、イノリの不安を煽るのに十分すぎるものだった。


なかなか切れ味の良さそうな剣を構え、武装した私兵がずらりと十人位で二人を囲んでいる。それが今置かれている状況だ。

体格の良いひとりの私兵が、二人の前に進み出る。

「主は留守だ。故に警備を厳しくしているのだ。お前らだな、何度も金品や骨董品を盗んでいるのは!」

その口振りから、この屋敷は何度も泥棒に入られているらしい。
どこのどいつか知らないが、勘違いだ。

「…………」

「人違いだよ」

人の家に入って物色したこちらの分が悪い、というより泥棒と同類なのは承知の上だ。
しかしこれはお国から仰せつかった大事な任務。故にイノリは強気な姿勢で言い返した。

「よくもぬけぬけと。主の留守を聞き付けて入り込んだんだろう…武器を床に捨てろ!」

正義感の塊のような兵が剣を突き付ける。
ゲドは腰に剣を提げているがイノリは今は丸腰だ。
武器を不携帯だと思われているのに、わざわざあの光の剣を出す必要はないだろう。戦う気なら話は別だが。

「…どうする?一か八か、暴れてみる?」

ずっと堅く口を閉ざしているゲドに、こっそり小声で話し掛けるイノリ。

「…この人数では手に余る。大人しく捕まろう」

賢明な判断。その方法が一番穏便だ。

「でも…」

捕まった後を考えると末恐ろしく、イノリは賛成を渋る。

「隙を見て逃げ出せばいい…………チャンスはあるさ」

年の功ある彼の単純な説得には、不思議な説得力がある。本当に逃げ出すチャンスがあるような気になるのだ。

「……分かった。信じるよ…」

イノリが両手を上に挙げる。

「……………降参だ」

ゲドが床に剣を投げ捨てると、二人はあっという間に押さえられてしまうのだった。


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