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□Level.6 きずな
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迷った末に、イノリは告白した。
この選択は果たして正しいのだろうか。
気になる反応はというと、
「はははは、イノリ、早く帰りたいからって嘘吐くなよ!」
「そうだよ、あんたがあいつらの仲間だなんて…面白過ぎるわ」
その面白いのが事実なのに、誰一人信じていない様子である。
確かにイノリの容姿を見て傭兵と判断する人はまず居ないと思うが、ひどい。
「もう、笑うなんてひどい!本当なんだから。皆に追い付いたら帰るからね!」
「はいはい、分かったよ」
デュークが、機嫌を損ねているイノリに返したのは、明らかに何も分かっていなさそうな返事だった。
「まぁ、イノリの言うことが本当かどうかは、もうすぐ分かるんじゃない?」
エレーンが前方を顎で杓る。彼女が示す先を良く目を凝らして見ると、小さな人影が幾つか見えた。
集団の後寄りを歩いている水色は、ジャックのコートの色と一致する。
間違いない。前を歩いているのは、十四小隊のライバルでありイノリの所属チームである、十二小隊だった。
まさか彼らの方が先にセナイ山に入っていたとは。
「早く追い付こうよ!」
イノリの逸る心に歩調も早まる。
「あいつらをこれ以上先に行かせる訳にもいかねぇし、行くか!」
デュークの提案に、イノリは首を激しく上下させた。
彼は隊員達の顔を見回し、反対がないと確認すると、意気揚々と叫んだ。
「決まりだな!あいつらに俺たちの強さを見せ付けてやるぜ!!」
洞窟に、彼の楽しそうな声が反響した。
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