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□Level.4 てあわせ
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自分の身体よりも大きな虫に襲われるなんて、まるで自分の身体が縮んでしまったような気分だ、などと想像するイノリ。
…今まさに襲われようとしているのに何を呑気な事を考えているんだ。
「どうした、フランツ!?」
「侵入者か!?」
騒ぎを聞きつけた虫兵が次々と駆け付け、イノリ達に迫る。
どうやら話し合いの余地はなさそうだ。
「仕方ない、行くぞ」
ゲドがすらりと剣を抜いた。
…そうだ、戦わなくちゃ。
イノリの戦う意志に反応して光と共に剣が現われ、それを構えた。
「覚悟しろ!!」
上空にいた兵士が叫び、イノリを槍で突こうとするが、イノリは機敏な動きでそれを回避する。
どうやらカレリアでの修業の甲斐があったらしい。動きの予測は容易だった。
空中を移動していた兵士が虫から降りて地上に下り立ち、独特な構えの槍でイノリを後退させ追い詰めていく。
しかしイノリ自身は追い詰められているという感覚は全くなく、遊ぶように攻撃を避けている。
「くっ…!」
中々当たらない攻撃に、兵士は苛ついている様子だった。
イノリを追い詰める毎に、攻撃に隙が生まれているのをイノリは見逃さなかった。
飛んできた一撃を今度は屈み込んでかわし、イノリは素早く兵士の懐に潜り込む。
「っ!?」
「今度は私から行くよ!」
イノリは身体に捻りを加えて、兵士の脇腹を力いっぱい蹴る。
吹っ飛ばす事は出来なかったが、彼は脇腹を押さえて唸った。そこにイノリは、間髪入れず手に握られた槍の柄を剣で払う。
払われた槍は兵士の手を離れ、弧を描いて宙を舞い、地面に突き刺さった。