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□Level.13 つどい
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「では、こちらへ…」
サナはヒューゴを連れ、封印の間の前へ歩いて行く。
二人の足音がいやに響いて、イノリは自分が真の火の紋章を受け継ぐ訳でもないのに緊張してしまった。
「ここに、真の火の紋章が眠っています。先へと進み、道を開いて下さい」
サナの言葉に従い、ヒューゴは封印の間の扉を両手で押し開け、中へ入っていく。
途端、轟音と振動が起き、イノリ達の方までぶわっと熱い風が押し寄せた。
扉の開かれた封印の間の入口を見ると、赤く燃え上がる炎の中で、ヒューゴが剣を構えていた。
そして聞こえてきたのは地鳴りのような、何かの鳴き声。
「あ、あれが…試練、なのね…」
イノリはおののいて声を上げた。
部屋の入口を覗く程度では全身が見えない。つまり、かなりの大きさなのだろう。
炎のような橙色をした固そうな鱗で、身体の表面を埋めつくされた竜が、この日を待ちわびていたかのように暴れていた。
その竜こそ、真の火の紋章の化身。
そしてそれを倒すのが、真の火の紋章を受け継ぐ者への試練だった。
「あんなものを…彼一人で倒せるのか…」
クリスは、試練に挑むヒューゴが気にかかるらしく、小さく一人ごちた。
「…心配なんですか?クリスさん」
轟音がこちらまで響いてくる中、イノリはクリスの一人言に耳ざとく反応する。
「あぁ。だが…私とヒューゴは敵対する立場だった。私は彼を心配していい立場ではないのかもしれない…」
「私は…体裁とか気にせず、自分の気持ちに正直になった方がいいと思いますよ」
「その通りだな…。ありがとう」
「グラスランドとゼクセンは、ハルモニアを退けるために力を合わせなければならないんですよね?」
クリスの紫水晶のような瞳をにこやかに見つめたまま、イノリは続ける。
「私達がここにいる事には、きっと意味があるはずです。だから…彼を支えてあげましょう?ね、クリスさん」
イノリは言った後はっとして、「馴れ馴れしくて済みません」と謝るが、クリスは「構わない」と目を細めた。
ゼクセンの民から「銀の乙女」と崇められ辟易している彼女は、素でものを言ったイノリにむしろ好感を抱いてくれたようだ。