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□Level.13 つどい
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「ソルは、あなた方3人の誰かが真の火の紋章を受け継ぐと言い残しましたが、それが誰なのかは、教えてくれませんでした。道を開くのは、運命ではなく人の意志なのだと信じていたから…」
サナは炎の英雄を追想し、穏やかだった表情を改めて、真面目な顔つきになった。
「炎の英雄の名を継ぐ者…それは運命ではなく、人の意志が決めるものなのです…」
人の意志が、英雄の後継者を決める。
ならば、英雄の力を欲したのは、その意志が最も強いのは、誰か。
かつて、グラスランドの地を救った、炎の英雄ソル。
そして今、再びハルモニアの攻撃を受けるグラスランド。
かの英雄のように、グラスランドを守りたいと、強く強く願うのは、誰か。
その者は、強い決意を胸に、英雄の遺品の前へ、足を一歩踏み出した。
「俺は……初めての戦いの中で……友達を失い……軍曹は、それが戦いというものだと言ったけど…」
静寂の中に染み渡ったのは、悲しみを帯びたヒューゴの声だった。
「あんな事が2度と起こらないような…そんな力が、この手に与えられるなら……」
…やはり、彼が英雄の名を継ぐのか…。
グラスランドの生まれのヒューゴが、グラスランドを守るための力を欲し、かつてグラスランドを救った英雄の力を継ぐ。
それは確かに筋が通っていた。
彼が英雄の力を求める思いが人一倍強いというのも納得できる。
「炎の英雄ソルさん。俺は、あなたの気持ちを知る事も想像する事も出来ないけど、あなたの持っていた力が、今の俺達には必要なんだって思う」
ヒューゴは迷いなく、英雄が戦い生きた証である棍の前に手を伸ばし、
「だから、力を貸して…、いや、俺にその力を与えてほしい……」
それをぎゅっと握り締めた。
守りたい、という意志を込めて、力強く。
少年の毅然とした表情には、既に英雄らしさが感じられるような気がした。
「…ソルの名は、あなたに引き継がれました。炎の英雄、ヒューゴ」
ヒューゴの想いを聞いたサナは、亡き恋人の呼び名を彼の名の頭に付けて呼んだ。
「彼との最後の約束を果たすため、真の紋章への扉を開きましょう。そこで、待つ試練をくぐり抜け、真の紋章に、それを受け継ぐ資格を示して下さい」
新たな英雄は、口を固く結び頷いた。