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□Level.13 つどい
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「イノリ…その松明、転んで落としたりするんじゃないわよ?」

「子供じゃないんだから大丈夫だよ。それにしても…これ持ってると、結構顔が暑くなるんだよね…」

イノリは景気よく燃える松明を持ち続けて疲れた方の手から、逆の手に持ち替え、凹凸の多い足元を気にしながら歩く。


手が疲れて松明を持ち替えるのは、これでもう何度目になるだろうか。
暗さで感覚は鈍っているが、二時間くらいは歩き続けたような気がする。

途中に何度か枝道があり、どの方向へ進むか勘だけで決めてここまで進んできた。
故に、今歩んでいる道がゴールへと続いているのかは、わからない。
それでも、ただ進む以外に攻略法はない。






変わらない景色に飽き飽きし、いつしか会話はなくなり、硬質の地面に響き渡るのが七人の足音だけになってから数分。
部屋か何かのように広くなっている行き止まりに突き当たった。

パッと見はただの行き止まりなのだが、よく見ると地面には大きな魔法陣が、松明の炎に照らし出されていた。

「ここだな……………」

皆が行き止まりだと思ってがっかりしている中、ゲドは魔法陣の上に立ち、目を閉じて精神を集中させる。

「……………」

すると魔法陣は蒼白くぼんやりと発光し、その光はどんどん強くなってゲドを包んでいく。

イノリは知っていた。
彼だけがこの場から姿を消すことを。
そして、彼が消えた先で重要なストーリー展開があることを。

咄嗟にイノリは松明を岩壁に立て掛け、

「ゲド、待って!!」

声が大きく響くのを気にも留めず叫び、まばゆい光を放つ魔法陣に立つゲドの背中に飛び込んだ。
光は一層強くなり、闇を完全に飲み込む。

白に支配された空間に、再び闇が戻った時、魔法陣の上にいたはずのイノリとゲドは、消えていた。

「え、ちょっと…」

眩んだ目を擦りながら、エースは二人が立っていた魔法陣に近付くが、彼の目の前には誰もいない。

「ゲド!!イノリ!!」

アイラが呼び掛けても返事はなく、戻ってくることもなく。
彼女の声は洞窟内に虚しくこだまするだけだった。
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