私立流星学園

□第五話
1ページ/29ページ

体育祭当日、空は雲一つない快晴だった。
秋名は朝からご機嫌だった。
今日は家族が秋名の応援に来るのだ。
秋名にとっては最高に嬉しいことだった。
体育祭の開会式は朝の十時からで体育祭を見にくる一般入場は九時からだった。
一般の応援席は学科毎に分けられている。
自分の子供のクラス毎に分かれて応援してもらうためだ。
秋名と喜一は自分のクラスの待機所にいた。
「もうすぐ九時だな。そろそろ来るんじゃないか?」
「多分、九時ピッタリに来るって言ってた」
秋名は待ち遠しいのかまだ誰もいない一般の応援席の進学科の所をちらちらと見ていた。
「正門まで見に行ってみるか?」
喜一の問い掛けに秋名は頷いて立ち上がり、二人で正門に向かった。
正門には警備の服を着た人物が三人ほど立っていた。
夏名たちの姿が見当たらなかったので二人はそこで待っていることにした。
少しして白のいかにも高級そうな車が学園前に停まった。
「秋名」
そこから降りてきたのは夏名だった。
白を基調にした動き安さ重視の服を着ていた。
「姉さん」
笑みを浮かべながら秋名は夏名に近付いた。
車からは夏名の後から二人の人物が降りてきていた。
緩くウェーブのかかった黒髪を背中の中ほどまで流し瞳は大きく鼻筋は通っていて少女のような美女と黒髪をオールバックにし切れ長の瞳の端正な顔立ちの美男子だった。
秋名の母の京と父の翔だった。
「秋名、元気でやってるか?」
翔が微笑みを浮かべて秋名の頭を撫でながら問い掛けた。
「元気」
頭を撫でられて嬉しそうに笑いながら秋名は答えていた。
「秋ちゃん、今日は頑張ってね」
京も可愛らしい笑みを浮かべて言っていた。
(愛されてるなぁ)
その光景を見て喜一はそう思った。
子供の頭を撫でる父親、その隣で笑っている母親、そして弟を抱き締める姉。
家族というものの形を見たような気がした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ