私立流星学園

□流星学園第一話
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桜が舞い散る季節に一人の三つ編みにした黒い髪を背中に垂らして瓶底黒ぶち眼鏡といういかにも根暗ガリ勉タイプの紫紺のブレザーに白のネクタイを着けた少年が流星学園前という名のバス停に停まったバスから降りていた。
「本当に山奥だなぁ」
誰に言うでもなく少年、若咲秋名(わかざきあきな)は呟いた。
秋名が今居る場所は山奥だった。
なぜ秋名がここに居るかと言うと学校に向かうためである。
秋名が通う学校は私立流星学園といって初等部から高等部まである全寮制の学校で金持ちの子息たちが集まる男子校だ。
秋名がこの学校に通うようになったのは母、京(みやこ)の一言があったからだ。
秋名が高校受験でどこに行くか決まっていなかったとき、京がこの学校のパンフレットを持ってきて、
「行きたい所がないならこの学校に行ってみる?」
と聞いてきたのだ。
なんでもこの学校は京の弟で秋名には叔父に当たる神崎広貴(かんざきこうき)が理事長をしている学校だというので秋名は反対する理由も無かったので頷いていた。
そう言うわけでここに来た秋名は山奥にしては場違いなほどに舗装されている道を歩き始めた。
歩いて十分ほどすると門が見えて来た。
それは大きかった。
二メートルはあるだろう門は学校の門というよりどこか外国のお城の門のようだった。
秋名はその門にカードを通す所を見つけて事前に貰っていたカードを通した。
すると門が開いて秋名はその中に入っていった。
どうやら門にはセンサーが付いているらしく秋名が通るとすぐに閉まっていった。
秋名は再び道を歩き出した。
しばらく歩いてていると門以上に大きな建物がありそれが校舎だと分かるには少しだけ時間がかかった。
(理事長室ってどこだろ?)
貰っていたパンフレットには地図は載っていなくて秋名は少しだけ考えて校舎に入っていった。
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