獣使い

□第二話
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「イシュタル、どこに行くんだい?」
城の通路で荷物を持ったイシュタルを見掛けたカーディナルはそう問い掛けた。
隣をすれ違った使用人がなんとも複雑そうな表情でカーディナルに会釈をして通り過ぎていった。
「《森》に行ってきます」
イシュタルの言う《森》とは普通の森ではない。
この国から北西に2キロほど離れた所にある《森》は獣が山程住んでいた。
通常、森は獣や動物の住み家だが、その《森》に住んでいる獣は《獣軍》なのだ。
城の中にも《獣軍》は数匹居て決まった場所で待機している。
《森》に居る獣は主に戦争用だ。
そのことからその《森》は《イシュタルの森》と呼ばれることもある。
「あぁ、今出産期だもんね」
獣は冬に発情期を迎え夏に出産するとイシュタルから聞かされていたカーディナルは納得したように手を叩いていた。
「じゃあ頑張ってね」
カーディナルの言葉にイシュタルは頷きビックバードを待機させている場所まで向かい《森》へと向かった。

森ではイシュタルが来たことを知った獣たちが集まってきていた。
イシュタルはビックバードから降りると奥へと進んでいく。
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