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□ごめん、愛してる
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……あぁ、たぶん
もう無理なんだ……
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崩壊したビルを背に俺は封真につかまっていた。
封真は俺の肩の傷口をえぐりながら、もう片方の手で首を締めつけてくる。
「ほら、どうした神威。このままだと愛しい『封真』は帰ってこないよ」
笑っている。喉を震わせた低い声。懐かしい、大好きな笑顔が目の前に……。
「…ふ、ぅ…ま…」
大好きなその笑顔につられて俺も笑う。しかし、その笑顔は一瞬で、すぐに険しく俺を嫌悪する顔になってしまった。
ぐっと自分の首を締め上げ力は弱まることなく、神威を苦しめる。肩の傷口はさらに深くえぐられ全身に鋭い痛みが回る。
「俺は『封真』じゃないよ」
首を締める手はそのままに、傷口に刺さっていた指が抜かれた。どろりと温かい血が肩を伝うのがわかる。その手で顎を捕まれて、ぐいっと上に向かされた。
「俺は『神威』だ」
首を締める力が強くなったと思うと、封真は俺に唇を重ねていた。
「〜〜っ?!」
予期せぬ行動に固まっていると封真の舌が俺の口内に入ってきた。
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