main

□ごめん、愛してる
1ページ/6ページ





……あぁ、たぶん
もう無理なんだ……


******    



崩壊したビルを背に俺は封真につかまっていた。
封真は俺の肩の傷口をえぐりながら、もう片方の手で首を締めつけてくる。


「ほら、どうした神威。このままだと愛しい『封真』は帰ってこないよ」


笑っている。喉を震わせた低い声。懐かしい、大好きな笑顔が目の前に……。


「…ふ、ぅ…ま…」


大好きなその笑顔につられて俺も笑う。しかし、その笑顔は一瞬で、すぐに険しく俺を嫌悪する顔になってしまった。

ぐっと自分の首を締め上げ力は弱まることなく、神威を苦しめる。肩の傷口はさらに深くえぐられ全身に鋭い痛みが回る。


「俺は『封真』じゃないよ」


首を締める手はそのままに、傷口に刺さっていた指が抜かれた。どろりと温かい血が肩を伝うのがわかる。その手で顎を捕まれて、ぐいっと上に向かされた。


「俺は『神威』だ」


首を締める力が強くなったと思うと、封真は俺に唇を重ねていた。


「〜〜っ?!」


予期せぬ行動に固まっていると封真の舌が俺の口内に入ってきた。



.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ