Clap Memory

□眠れぬ夜にはキスを!
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眠れぬ夜にはキスを!






なかなか眠れない。何度かモゾモゾと寝返りを繰り返していると。


「神威、うるさい。寝かせろ」
「なっ!俺だって寝たい!」

なのに眠れないんだ!と続く俺の言葉を遮るように。

「だったら早く寝ろ」

封真は不機嫌そうに神威に背を向けた。


寝れることなら、とっくに寝てる!心の中で封真を怒鳴る。けれど腹が立つのに、寂しさのが大きくて。

神威は封真の背中を見つめて、封真の馬鹿と、反らすように自分も背を向けた。



しかし寝ようと意気込んでみたところで睡魔は降りてこず、暗闇の中で頭は冴えるばかり。反射的に苛立ちを寝返りでごまかそうとして、しまった…と後悔した。

ひとつのベッドで一緒に寝れば片方が動けば、振動が伝わってしまうわけで。

目の前に横たわる背中が動き出した。またさっきみたいに機嫌を悪くさせてしまったのではないかと、焦る。


ごろんとこちらに向き直った封真に、寝たフリでごまかそうと、ぎゅっと目をつぶった。
けれど、予想していた不機嫌な声はいっこうに聞こえない。変わりに突然、温かいものに包まれた。


目を開けると、封真の顔が視界にいっぱいにあった。驚いて身じろいだ神威を、動くなと言って。ぎゅっと抱きしめた。そうして神威はやっと状況に気付いた。


「大人しく、寝ろ」


余程眠いのか、封真は囁くほどの声で。ぎゅっと神威を抱きしめる力が強くなった。


とくん、とくん


封真の鼓動が心地よくて。温もりが気持ちよきて。封真の腕の中が嬉しくて。



――――あ、眠れるかも。



そう自覚すれば、さっきのが嘘のように眠気が降りてきた。まどろみの気持ちよさの中、封真の胸に顔を埋めた。



―――封真に、感謝しなきゃな……朝起き、たら…

おはよ……、の、ちゅぅで……も………―――――



驚く封真の反応が楽しみだ、そんなことを考えていれば。心地よい眠りに神威は意識を手放した。





end.



by Clap 04


おやすみ、神威。


















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