短編

くすぐりっこ
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「…て事で今からくすぐりっこしよっか?オトナの」
「あ・っ・ち・言・っ・て・ろ!」

オヤジレベルのいやらしい発言に、菜箸を振りかざし忠告する。
厳重注意に口を尖らせながら、ようやくテレビの方に去っていった。
見下ろせば、フライパンの中はやや焼きすぎ状態。

…全く。

あいつのする事は本当、言動全てがくすぐったい。
考えてみれば、あの頃から俺のツボをよく押さえてたわけだ。
炒めすぎたやや固めになったベーコンを、俺は少し残念そうに見下ろした。
責任とってこの料理は完食させなければ。

まぁ、言われなくてもそうしてくれるのはわかってるんだけど。

俺はそんな事を考えながら小さく笑う。
ちょっと焦げかけた卵焼きと、カリカリのベーコンを皿に盛りながら。



《end》

/2013/1/23改稿


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