短編

泣かせてみたい
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「…また別れたのか」


呆れたような雅人の声にも俺は悪びれず、昼飯の焼きそばパンに食いついた。

「…飽きた」

そう言ってやると、溜め息をついて窓を見やる。
表情は呆れてはいるようだが、冷静な対応に見えた。
その華奢で、明らかにインドア派であるとわかる肌の白さに、俺は何故か目をすがめた。


…去年の夏、雅人の俺に対する気持ちを知って、正直俺は動揺した。
まぁ、はっきり言ってしまえば、ドン引きしたのだ
あのアルバムは10枚近く、全部俺だった。
学校や家で撮られたのを、敢えてピックアップされてた。
中学からやってる、バスケをしてるのもあった。
鈍感と言われてる俺でも、このアルバムの意味するモノが何かわかった。



《雅人は俺が好きなんだ…男の俺が。》


冗談じゃない、どうする…そう悩んだ末にとった行動が、遠回しに雅人を傷つけ、諦めさせる事だった。
まぁ、もともと運動能力のよさで目立ってた俺は、その気になれば女に不自由しなかったのもある。
これ幸いと、俺はいろんな女の子と付き合っては、雅人に見せつけてやったのだ。


 

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